日米2国間貿易交渉
- 2019年05月02日
日米2国間貿易交渉について、米国は農産物の交渉を優先することを明らかにし、今月のトランプ氏来日時に締結をしたいという意欲を表明しました。
そして、これまで日本が主張していた「TPPと同程度の関税率」についても妥協する含みも匂わせましたから、この方向で交渉が進み、一気に妥結ということになりそうです。
これら一連の日米貿易交渉について、当事者である農業団体が政府に対して行う要請が至極消極的であることが報道されました。
政府は、「日本も農業団体が政府への圧力団体となり、日米2国間交渉ではTPP水準以下を求めているから、安易に妥協できない」という後ろ盾をもって交渉したい、というのが本音のようで、交渉では「従ってTPP以上ではなくTPP並みが最大限の譲歩だと米国に納得してもらう」という筋書きを書いていたものと思われます。
TPP交渉が浮上してきた頃の農業団体は、「TPP絶対反対!」という自民党の口車に翻弄され選挙で自民党を応援、選挙が終わるとTPP交渉を行うという自民党の裏切りを容認して補助金という条件闘争に転換、その後、政府は口うるさくなった農協に対して農協改革を打ち出し、口を黙らせるという仕打ちを行ってきました。
そのこともあってか、農業団体は去年の日米共同声明にある「農林水産品は、過去の経済連携協定の内容が最大限(日本はTPPを想定)」という言葉を信じ切っているようにも見えます。
国民は安い農産物が輸入されて喜んでいますが、根本は日本の食糧自給率の低下であり、食糧安全保障上の戦略を持たない日本の未来の食糧事情がどのようになっていくのか、政府の考えが及んでいないということではないでしょうか。
肝心の農業団体が弱腰では、いずれTPP水準は破られていくことが想定されます。
そして北海道の農業が一番の影響を受けてしまう事になります。