旧態依然の外交
- 2016年10月23日
フィリピンのドゥテルテ大統領が、訪中し、周近平国家主席の前で「米国と決別する」を宣言しましたが、帰国後、「決別とは外交関係を絶つことではなく、米国が進める外交政策における決別だ」とし、米国追従の外交政策は採らないという意味であると語りました。
様々な問題発言を繰り返してきたドゥテルテ大統領が25日に来日します。
またどのような発言をするのか気になりますが、この25日の来日に対し、安倍晋三はフィリピンのミンダナオ島の農業開発支援として50億円の円借款供与を行うことを伝えるようです。
フィリピンと言えば、南シナ海での中国の進出、南沙諸島での人工島造成に対し国際司法裁判所に訴え、日本も中国に対し、法の秩序を守ることを国際的に訴え、米国と一緒になって「自由な航行作戦」を支持し、さらに、米国の求めるまま、フィリピンに対して全長44m級の小型海洋巡視船10隻を無償貸与、さらに、ASEAN首脳会議においてドゥテルテ大統領と会談、90m級の大型巡視船2隻、洋上哨戒機TC90・5機を追加貸与することを約束しました。
しかし、ドゥテルテ大統領は周近平主席との共同声明で、南シナ海問題で日本や米国の関与を「域外国の関与を拒む」という声明を出しました。
言っていることがコロコロ変わり、移り気で中国と日米を天秤にかけるしたたかなドゥテルテ外交。
ある雑誌には『アキノ前政権は親米・親日でしたが、ドゥテルテ大統領は、1898年フィリピン革命軍がスペインからの独立戦争に勝利したのも関わらず、米国が独立宣言を3年間も認めず、そのために激しいゲリラ戦となり、当時800万人の国民の内60万人が犠牲となったことに対し、有産・知識階級の中に潜在的な反米感情があること、そして、その感情は中米諸国以上とも言われていることを心に留めているのかも知れません。そのことが、「反米・親中」政策となっているのでは。』という意味の記事が書かれています。
だとすれば、そんなフィリピンに武器を搭載した巡視船や海洋哨戒機を貸与する愚を安倍晋三は犯したことになりますし、今回の50億円の供与も含め、したたかに援助だけを吸い取られることになります。
相手国に対する情報分析や戦略無くして、単に金さえ出せば両国関係がうまくいくと考える旧態依然の外交しか出来ない日本外交、外務省は一体何をやっているのでしょうか。