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時短命令「違法判決」

  • 2022年05月18日

 3年間にわたるコロナウィルス感染症の拡大予防策として、蔓延防止等重点措置地域の指定や緊急事態宣言の度に、行政が主導して「営業時間短縮措置命令」や「営業時間短縮・休業・酒類提供の自粛要請」が発令されていました。

 その理由は、「感染の拡大は飲食に起因することが大きいと予見される。」、ナゼかと言えば、飲食の場合アルコールが伴い声が大きくなり保菌者からの飛沫が飛び交う、大勢の客が隣り合いソーシャル・ディスタンスが取れず密になる、店内が密閉空間の場合が多く換気が困難である等ということから、特に飲食店にターゲットが絞られた命令や要請が行われました。

 また、その影響はコンサートやプロスポーツ等の興行や、遊興施設まで広がり、多くの事業者が自粛を余儀なくされ、その他にも、県外越境も制限され、観光は致命的なダメージを受けましたし、これらに関連する広範な産業に影響を及ぼしました。

 当初は、飲食店なども行政の要請や命令に従う事業者も多かったのですが、時短や休業などに対する補償が不十分なこと、さらに、医療機関や高齢者施設などに集団感染いわゆるクラスターの発生が集中し、飲食店などは一部でしかないこともあって、特に飲食店だけが自粛するのは理解できないとの声も出始め、実際に「時短破り」と言われる行為に走った事業者もおり、それらは行政命令違反として店名の公表や過料が科せられるなどのペナルティーを受けました。

 皆さんご経験の通り、街中は夜になると行灯の明かりも消え、人通りも無く、暗い日々を過ごしました。

 今回の訴訟とそれにおける東京地裁の判決は、ペナルティーを科した行政に対し、「命令は特に必要と認められず違法」というものでしたが、一方、「都知事に過失があるとまで言えない。」として損害賠償請求は退けられました。

 原告は控訴することにしたようですが、その判決の行方が気になります。

 今回明らかになったのは、「行政の命令や要請に従わなくても違法ではない、すなわち過料を科せられる根拠もない」ということです。コロナウィルス感染症は時間の経過と供に変異を続け、今は当初のアルファー株からベーター株、ガンマ株、デルタ株、ラムダ株、オミクロン株、そしてBA1からBA5まで変異し、4回目のワクチン接種や第7波も危惧されていますが、特に心配なのは今後再度感染が拡大し、深刻な状況に陥って、時短や休業の要請・命令が発出されたとしても従わない飲食店が続出するかも知れないということです。

 今回の地裁判決や高裁判決を受けて、政府が手厚い補償も含めた統一的な見解を示さない限り、当該の都道府県知事は手をこまねいてしまうことになります。


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