時給1,500円へ(ブログ3746)
- 2024年11月16日
政府の諮問機関である「規制改革推進会議」が石破政権で初の会合を開き、最低賃金の決定プロセスの見直しを今後の検討課題とすることを確認しました。
これまでは、労働者代表、使用者代表、公益代表の委員で構成される「中央最低賃金審議会」において、経済状況や社会状況、労働環境の変化などを基にした議論を行い、引き上げ額の目安が提示され、それを参考に各都道府県の「地方最低賃金審議会」が各地域の事情を踏まえた審議・答申を得て、都道府県労働局長により決定されてきましたが、世界的に最低賃金が高いレベルにあり、日本の最低賃金は世界的に魅力のある賃金体系とはなっていないことから、外国人労働者も日本で働くことを敬遠する状況にあります。
このため、政府は新たに春闘などで行われる「政労使」の交渉状況や経済財政諮問会議での議論も考慮に入れ、決定プロセスに折り込むことを検討します。
最低賃金については、石破氏の「1,500円を早急に実現したい」という発言もありますし、連合も当然のことながら賃上げを大企業や中小企業だけでは無く、パートやアルバイト、派遣労働者にも適用させることを目指していますから、目的は同じであり、賃金改善もスピード感をもって進んで行くことだろうと思いますが、一方で、建前は賛成とは言いつつ、実質的に負担を強いられる経営者が二の足を踏む事が想定されます。
そうなれば賃上げの前提となるのが、売り上げのアップにつながる物価の高騰つまり食料品を含む各種消費財の値上げです。
今年の最低賃金の中央値は1,055円ですから、これを1,500円にするのは単純に各種物価を1.5倍としなければなりません。しかし、この値上げ分は労働者の賃上げ分であって、経営者の利潤には跳ね返ってこないことになります。
社員全てが最低賃金対象者では無いと思いますが、経営側や消費者にも十分な理解が求められます。
一方で、同じ時間働くと今話題となっている「103万円の壁」は実質的に破壊される事になりますが、それだけでは無く「106万円の壁」や「130万円の壁」もその影響を受けることになります。
全てが繋がっている事に思いを馳せて検討する事が必要ではないでしょうか。