最高限所得
- 2011年02月21日
先般、ある雑誌を読んでいましたら、フランスで「最高限所得」という概念が現れはじめたという記事が載っていました。
フランスは1980年代に「最低限所得」という考えが生まれ、フランス左翼がこぞって要求し、89年にミッシェル・ロカール首相のもと、「社会復帰最低所得」として誕生し、生存権が保障されました。
日本では、この「最低限所得」を「最低賃金(時給)」として導入し、昨年13円アップで「692円」と、まだまだ低い状態ですが、一定の歯止めともなっています。
フランスと言えば「有給休暇」を発明した国であり、今度はこの国で「最高限所得」ということが大きく動き出しているようです。
簡単に言えば、極端なお金持ちの所得に天井を儲け、お金を社会に再分配しようという考え方です。
フランスでは、上場大企業経営層の年間所得は平均で3億6,000万円以上、国民の90%以上が年収約200万円(月収約18万円)で、その差が180倍となり、人生を4~5回繰り返さないと最高所得層の1年分に追いつかないことになります。
フランスの左翼党は「年収35万ユーロ(3,850万円)以上は全部取る」として新たな課税区分を創設するよう提起し、緑の党は「国民平均(月収約18万円)の30倍を目安とし、年収5,500万円以上はもらえないようにする」と主張しています。
最初はとても無理と言われていましたが、世論調査では75%が最高限所得に賛成となっています。
日本も所得格差が拡大し、富と貧困が社会現象となっています。
日本に当てはめた時にどのようになるか大変興味がありますが、資本主義が行きすぎる社会よりも富の再配分を見直し、「最低不幸社会」を求めることも今後の社会にとっては重要なことではないかと思います。