本当に待機児ゼロ?
- 2017年12月02日
16年2月15日にアップされた「保育園落ちた、日本死ね」というブログが反響を呼び、保育園待機児問題が一気にクローズアップされました。
安倍晋三は4年前、17年度までに50万人の受け皿を確保し、待機児ゼロを達成すると自信満々で訴えましたが、3年経った16年の2月にこのブログがアップされ、安倍晋三に言葉が「ウソ」だったことが明らかになりました。
さらに、今年6月には「時期を3年先延ばしにする」と発表しましたが、それから4ヶ月しか経っていない、舌の根も乾かないうちに「2020年度末までに32万人の受け皿を整備する。3歳児から5歳児まで全ての子ども達の保育園、幼稚園の費用を無償化する」と、衆議院選挙で公約しました。
この言葉についつい騙されて自民党に投票した方々も多いことだと思いますが、選挙で大勝した後、認可外保育施設は対象外との方針が浮上、認可保育園から漏れた人たちから「不平等」だとの声が上がると、今度は一部補助にすると言い訳をしましたが、結局、結論は来年まで先送りとなってしまいました。
一方、保育料が無料となると、その需要は更に多くなってくることが想定されます。
保育園は、以前「保育に欠ける児童」、そして今は、「保育を必要とする児童」を預かり、保育することを目的とする「児童福祉施設」となっていることから、保護者が就労していたり、病弱であることや、介護などで保育が十分ではない児童など、入所要件が満たされることが条件となっていますが、無償となればこの条件をどのようにしていくのかも問われてきます。
また、3歳児から5歳児まで無償という条件も問題になってきます。
0歳から3歳未満児までの幼児が対象外になるのであれば、ここにも「不平等」の声が上がります。
0歳から3歳になるまで育児休暇が取得できる制度が完備しているわけでもなく、よしんばその制度が合っても、3年間のブランクの後に同じ職場に復帰するのは不可能に近い話です。社会は目に止まらぬ早さで進展しており、3年間は一昔、いや二昔、三昔となって追いつくことは出来ませんし、その間のギャップを埋めることは適いません。
さらに幼稚園においても、3歳児からの幼児教育を望む保護者が殺到するでしょう。
今は、この0歳からの保育と5歳までの幼児教育を備えた「認定子ども園」が普及して来ています。
さて、野村総研が試算した需要は、政府の32万人に対し更に88.6万人分、合わせて約120万人分の受け皿が必要と指摘していますし、元経産官僚でNPO社会福祉経済研究所代表の石川和男氏は、潜在的に保育園に入れない待機児童数は360万人に上ると試算しています。
子育て世代の期待感、現実的な待機児数、安倍晋三は自らの言葉をどのように繕うのでしょうか。