背景

ブログ月別アーカイブ

ブログ

>>前のページへ戻る

札幌冬季五輪30年断念(ブログ3356)

  • 2023年10月07日

 1期目から公約に挙げていた「札幌冬季五輪30年開催」の旗を下ろさなければならなくなった秋元札幌市長は、忸怩たる思いだったでしょう。

 この大きな国際的なイベントを通して、「世界中に札幌市の地位を向上させ、観光を中心に多くの外国人の訪問を」と、政策の1丁目1番地に据えて取り組んできました。

 新幹線の札幌延伸も政府に力強く働きかけ、五輪開催の30年に間に合わせるよう、延伸の前倒しにも多くの精力を注ぎました。

 しかし、秋元市長の努力とは別の、様々な動きに翻弄されてしまいました。

 新型コロナウィルス感染症は、世界中をパンデミックへと導き、その中で2020年東京五輪は1年遅れに。しかも、無観客での開催、あろう事かこの世界的イベントに広告代理店が暗躍、JOC山下会長はそのリーダーシップの無さを露呈、組織委への森喜朗氏の異常なまでの介入と、なすがまま「烏合の衆」と化した組織委員会の無力さが表出し、さらにIOC組織委の無茶ブリ、そして最後は大会に巣くった輩による贈収賄。

 記録映画は、監督が意図的な意思を映像に込めたことから「ボツ」になり、政府と組織委員会は、東京五輪の検証を行う事も拒否、したがって報告書もまとめられませんでした。

 これだけのことを、見てきた国民は、五輪に大いなる失望を抱いたに相違ありません。

 ましてや、この次に冬季五輪の手を挙げようとしている事に対して、当該の札幌市民は黙ってはいませんでした。多くの署名を集め、札幌市議会に住民投票実施を求めましたが、議会では否決。その直後に行われた統一自治体選挙でも市民の怒りは収まりませんでした。

 また、札幌市による住民説明会も、住民の意見を聞くよりも説得に走り、市民の納得を得ることは出来ず終いです。

 秋元市長は、3期目の公約であった住民投票実施のための補正予算を断念、この頃から今日の日が視野に入っていたのかも知れません。

 国際的には、30年、34年の開催に手を挙げるライバルの都市は、住民理解も概ね良好と言うことですから、勝負ありなのでしょう。

 コロナ禍が無ければ、そして東京五輪の不祥事が無ければ・・・。

 例が適切ではありませんが、今となっては「死んだ子の年を数える」様なものとなっています。

 それを横目で見ていた「鉄道・開発機構」は、見透かしたかのように、30年開催の「たが」が外れたことも大きな理由に出来ると、新幹線の札幌延伸を先延ばししようとしています。

 理由は、いくらでもあります。2つのトンネル掘削が困難を極めていること、資材高騰と人手不足が想定外の様相を示していること。一番大きいのは、政府の肝いりで「冬季五輪開催の30年までに何とかしなければならない」というバイアスから開放されたことでしょう。

 札幌市内、とりわけ札幌駅を中心とした再開発は、バブルの時を思い出させるような勢いでしたが、ここに来て、少しずつ萎んできたようです。

 様々な事に翻弄される秋元市長。ピンチをチャンスに出来るでしょうか。


Copyright(C)高橋とおる後援会 All Rights Reserved.