札幌招致は既成事実か
- 2022年09月04日
JOC山下泰裕会長が定例記者会において、札幌冬季五輪の開催について「最後の最後まで全力を尽くす。」と断言し、8月25日に開催された理事会でも「(招致の取り下げについて)そういった意見は全く無かった。私もそういう考えは無い。」と、開催誘致は既定事実である事を断言しました。
確かにJOC(日本オリンピック委員会)という組織は、その名の通り日本におけるオリンピックに関する全ての事務を所掌している組織であり、組織の会員はオリンピック正式競技にノミネートされている競技団体で構成されていますから、自国(日本)での開催にはとりわけ中心的に活動し、IOC(国際オリンピック委員会)への働きかけを行うということは理解しています。
しかし、オリパラは、昨年開催された「20東京オリパラ」で、大きな過渡期を迎えてしまいました。
以前から指摘されていますが、開催地を招致するためにIOC委員にロビー活動が行われ、そこには大きなオリンピックマネーが水面下で動き、開催地がカネで決まるのでは無いかという悪弊が続き、大会の開催時期、競技開始時間は放映権を多額のカネで得た米国の巨大マスコミに左右され、商業化されたオリンピックにスポンサーが跋扈し、そこにブロカーまがいの方々が介在するようになった。
オリンピック憲章などは有って無いがごとしです。
さらに、20東京オリパラはコロナウィルス感染症の世界的蔓延で1年延期となったことから、バッハ会長はじめIOC委員の横暴ともいえる言動が開催国を縛り、日本の要望は聞き入れられずIOCの言うがままに従うだけでした。
併せて、その開催経費は公式発表でも当初予算の倍以上にも膨らみ、最終的にはいくらになったのかも明らかではありませんし、その赤字問題も解決していません。
そして、オリパラ開催に関わるAOKIと電通OBの髙橋氏の贈収賄事件だけでは無く、森喜朗組織委員会(前)会長への見舞金も判明、更に検察は続々と出てくるであろう第2第3のAOKIに捜査範囲を広げていると言われています(まずはKADOKAWA)。
札幌冬季オリパラは、それらの問題の解決を見ないままに招致に走っています。
札幌の秋元市長からは、今回の20東京オリパラの抱える様々な問題に対する考え方を聞いたこともありませんし、何より、道民の半数が開催に疑義を抱いています。
併せて、JOC山下泰裕会長からも、自身が選手だったことも踏まえたオリパラの信念を聞いたことがありません。その前に東京オリパラで山下会長の存在感はゼロでした。
仮にお二人とも、8年後の開催年に市長として、JOC会長として就任しているならば、「20東京オリパラ」の負の遺産を二度と起こさない不退転の覚悟を持って臨んでくれるのでしょうか。
招致を決める前に、是非お聞きしたいものだと思います。