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株式会社化する日本

  • 2014年05月24日

 これだけ、平和を蔑ろにし、危険な場所へ日本を導こうとしているアベチャンの支持率が相変わらず高率で推移しているのはなぜなのだろうと常々思っておりましたが、思想家の内田 樹(たつる)氏がこの現象をみごとに言い当てていました。

 氏曰く、日本は「国民・国家の株式会社化」が進んでいるとのこと。

 日本は人口減少になって高齢化が進んでいるにも関わらず、日本全体が経済成長を求めることは、株式会社が対前年度比以上の売り上げや利潤を追求する姿勢と似ています。

 社会制度は全て経済成長に資するかどうか、「金儲け」しやすい制度どうかが基準で、正しいかどうかはそれによって判断される。

 民主主義は少数意見を尊重し、弱者を救済、富の再配分などが柱となりますが、それは効率的な意志決定、効率的な「金儲け」にとって障がいとなることから、そんなことは止めて、トップに権限も情報も資本も集中して上意下達でやった方が良いと考えてしまう。

 よく、「民間では考えられない」と言われますが、医療も福祉も教育も自治体も国家も株式会社のようになれば良いと考えてしまい、それがおかしいとは思わない。

 その根底には、今の40代50代は学校を卒業して以降「株式会社」という組織の中で育ち、それが社会のシステムであると思っているからで、株式会社は取締役会の議事録を公開したり、経営方針の決定に従業員の賛否を問うようなことはしません。

 ワンマン経営者が仕切り、異見を示すと左遷させられるし、イエスマンしか出世をしないから廻りはイエスマンばかりになる。

 それが組織であると信じていれば、「金儲け」をさせてくれてリーダーシップがあればそれは正しいリーダーということになります。

 「国民・国家の株式会社化」の最高の成功例はシンガポールで、国家目標は経済成長、したがって全ての社会制度は「金儲け」に役立つかどうかを基準に設計されており、1党独裁で権力は世襲、集会・結社・言論の自由は無く、立法府での議論で無駄(?)な時間は使わない。

 しかし、経済成長と国民の幸福とはほとんど関係が無く、欧州の成熟国家はほとんどがゼロ成長かマイナス成長であっても、国民一人当たりのGDPは高く、一方、2012年度の経済成長トップはリビア、2位がシェラレオナ、3位がアフガニスタンで内戦やクーデターが起きている国がトップ3であることをから成長率と国民の幸福は相関関係が無いということになります。

 日本は民主主義を捨ててはいけません。

 その正反対の動きを活発にするアベチャンの正体に40代50代のサラリーマンは、早く気がつかなければ、あなた方の老後もありません。


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