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核抑止を肯定(ブログ3646)

  • 2024年07月31日

 日米両政府は、これまでの実務者レベルの会合を閣僚会合に格上げして両国の安全保障体制についての協議を行いました。

 その内容は、①米国の核抑止力を共有する②自衛隊の「統合作戦司令部」と在日米軍の「統合軍事司令部」の機能の強化・一体化③中・露・北朝鮮の軍事協力化等を非難④ミサイルの共同生産とパトリオットミサイル等の米国への輸出⑤在日米軍の事件・事故の情報の共有化などで、これらが文書化されました。

 これで日本は、自ら核を持たずとも「核装備」をしてしまったと言うことになります。

 振り返ると昨年5月に広島でG7サミットを行い、議長国の岸田氏が主導してまとめた「広島ビジョン」には「核なき世界を目指す」と記されていました。

 その一方で、米国の核保有を認めその核に日本の平和を依存するということを選択し、「核兵器の廃絶を目指すが、核兵器に依存するのは問題無い」というまるで意味不明の対応を平気で行っています。

 安全保障環境が悪化しているから日・米・韓・豪・印・英・加等の軍事協力は良いが、懸念する中・露・北朝鮮の軍事協力は悪い、自分たちを守る核兵器は良くて、他の陣営の核兵器は悪など、どう考えても大人の常識を越える理屈です。

 自衛隊と在日米軍の作戦・指揮の一体化は、世界的に見ても相当の脅威となることは明らかですから、他の陣営にとっては穏やかでは無いことでしょう。

 そして、ミサイル等の生産共同化は、米国にとって願ってもないことです。米国企業のライセンス契約で日本がミサイルを作れば、そのライセンス料は米国(企業)に入り、そして米国がウクライナやイスラエルに武器供与し米国内に不足している兵器を補うことになり、一方、日本は禁止されている戦争当事国への武器供与を、米国を経由して行っている事になり、事実上戦争に手を染めたことにもなります。

 在日米軍兵士や軍属による事件・事故の情報共有化などは、「絵に描いた餅」としか言えず、単に情報が共有化されるだけで、日米地位協定の改定無しには日本に捜査権も裁判権もありません。つまり無力のままなのです。

 今回の閣僚級会合で確認された内容は、今後様々な現象を呼ぶことになると思います。

 非核三原則の「作らず・持たず・持ち込まず」は形骸化されるでしょう。

 道新は、核武装した原潜などが日本に寄港することを懸念する社説を書きました。

 海上自衛隊には、ヘリ搭載護衛艦「いづも」や「かが」が既に改修されて短距離離陸・垂直着陸戦闘機F35Bが搭載されています。そして無寄港・長距離航行が可能な動力の原子力化の要望も高いと聞きます。

 8月6日・9日は唯一の被爆国である日本にとって特別な慰霊の日です。

 その日を目の前にして、日本は米国の世界戦略に同化して核抑止の道を歩き始めました。


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