核燃サイクルの破綻
- 2015年11月15日
原子力規制委員会が、長年運転を停止している「もんじゅ」の運転管理を行っている「日本原子力研究開発機構は、運転管理の適正に欠ける。」と文科省に勧告をしましたが、遅きに失した感も否めません。
すでに、20年前のナトリウム漏れ事故以来運転を停止していた「もんじゅ」は、運転技術が未熟なまま事故やトラブルが発生し続け、まともに稼働した事がありません。
ナトリウムを冷却媒体とする原子炉は、第3世代の原子炉と言われ、フランスを中心に研究開発が進められていましたが、ナトリウムは空気に触れると燃えてしまう性質を持っているため、その管理には高度の技術を要し、開発の中心的な役割を担っていたフランスでさえ、すでにその開発を断念した原子炉です。
運転技術が確立しておらず、これまで1兆円近くの国費を費やし、停止していても年間約200億円も経費がかかるだけでなく、今後も稼働する目処が立っていない原発であることは、国も十分知っているのも関わらずに延命させているのは、まさしく巷間言われているとおり、核燃サイクルという計画が頓挫することは日本の原子力政策にとって大きな転換を判断しなければならないこと、すなわち原発依存のエネルギー政策からの脱却であり、それは、全国の電力会社にとって大きなダメージにつながることを意味することになります。
使用済み核燃料の再利用として英仏に再処理を依頼したプルトニウムは48tにもなり、さらに、全国の原発に溜まった使用済み核燃料は1万7,000tにも及んでいます。
青森県六ヶ所村の使用済み核燃料施設の貯蔵量は限界を迎え、更に、全国の原発内にある使用済み核燃料プールも満杯状況にあることは周知の事実ですから、これ以上の原発稼働から生み出される使用済み核燃料の行き先は、核燃料サイクル計画が推進しない限り全国のどこにもありません。
まずは、「もんじゅ」を廃炉し、原発からの脱却を決定し、これ以上の核廃棄物を出さない政策に舵を切り、プルトニウム48t、使用済み核燃料1万7,000tの処理を検討しなければなりません。
中期的には、現在の原発内にある使用済み核燃料は、新たに中間処理施設を建設するよりも、各原発内の貯蔵プールで保管することを決めることから始めなければならないと思います。