核禁止条約決議案に反対
- 2016年10月31日
国連総会第1委員会において「核兵器禁止条約」の制定交渉開始を定めた決議案が賛成多数で採択されました。
この決議案に日本が反対、唯一の被爆国としての矜持を捨て去るかのような判断に多くの非難が寄せられています。
核兵器禁止条約は「核兵器の実験、保有、使用などの全面禁止」を基本としている条約です。
日本は「かつて」と言って良いのか、今もと言っていいのか判りませんが、非核三原則を国是としています。
核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」が日本の核政策の基本でしたが、思い起こせば、この非核三原則は当時の佐藤栄作総理大臣が国会で答弁したもので、野党は、この非核三原則を国会決議とするように求めましたが、自民党はこの非核三原則に加えて「核抑止力への依存」、「核の平和利用」を加えるように要求、結局非核三原則は「政府の政策的選択」ということに落ち着いてしまいました。
一方、佐藤総理時代に「核密約」が成立し、沖縄への核の寄港・通過を認めることにもなっていたことが暴露されましたが、それでもこの間、歴代政府はこの非核三原則を表面上、国民との約束として守ってきたようです。
しかし、安倍晋三はそのことさえ歯牙にも掛けず「憲法は核保有を否定していない」と公言することを憚りません。
今回の決議反対は、核の傘を日本に貸している米国には理解されても、国民の多く、そしてこの決議に賛成した123ヶ国には理解されるものではありません。
核はまさしく非人道的兵器であり、日本はその経験を通し、毎年8月6日には広島で、9日には長崎で原爆死没者慰霊・平和祈念式典を開催し、広く世界に対し核の廃絶を訴えています。
多くの苦しみを経験した原爆の犠牲者、今もその後遺症で苦しんでいる被爆者の方々、紛争地域において劣化ウラン弾爆撃を受け、放射能の影響を受けている被害者に対し、どのような言い訳をするのでしょうか。
オバマ大統領が広島を訪れた際に、日本の総理として、したり顔で核兵器廃絶の演説をしていながら、核兵器禁止条約に反対するダブルスタンダードの日本は、国内的にも、国際的にも失望を招いただけではないでしょうか。