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森林環境税

  • 2020年12月20日

 昨年度から導入された森林環境税(正式名称:森林環境譲与税)ですが、鳴り物入りで始まった割りには、ほとんど効果の薄い結果となっているようです。

 24年度から国民一人当たり年間1000円の税金が賦課されますが、それまでは借金をして法律施行後の19年度に200億円、20年度は400億円を自治体に交付し、主に森林整備に活用する事を目的としていました。

 なかなか整備が行き届かない雑木林などの間伐や、伐採した木材を運び出す路網の整備、森林整備に関わる人材育成や担い手の確保、木材利用の促進と普及啓発などに関わる事業に対して支援する事になりますが、今日の新聞では支援金の配分が少なく事業化が困難となっていることが指摘されています。

 日本の林業は、人工林において主伐期を迎えていますが、その一方で林業の後継者不足が重なり、森林所有者や森林管理者の事業意欲が低下しています。

 その結果、森林の手入れが行き届かず、木材生産にも大きな影響をきたしています。

 また、15年のパリ協定採択以降、日本としても温室ガス排出削減の目標達成に加え、災害防止を目的とした森林整備を行うことが求められ、その資金確保として新税の導入が検討され、森林の面積が全国の4分の1を超える北海道でも、行政や森林関係機関、道議会とほぼ全ての市町村議会の超党派議員が参加する「林業活性化議員連盟」も積極的に新税の導入に取り組んできました。

 譲与税の配分割合は、都道府県が1割、市町村が9割が原則で、国単位ではなく、より現場に近い基礎自治体の主体性で管理することを目指しています。

 森林の中には私有林も多く存在しますが、自治体は森林管理者に適切な森林管理を促す事を目的に、伐採、造林、保育などを適時適切に行うよう求め、森林管理者による管理が何らかの事情により不可能な場合は、当該の森林を市町村に委ねるよう求めることが出来ます。

 また、北海道では、林業に従事する担い手を育成する目的で、今年度から旭川市に1学年定員40名2年制の「北海道立林業大学校:北の森づくり専門学校(略称:北森カレッジ)」を開校しました。

 さて、新聞では、自治体への配分が少なく思い描いていた目的にはほど遠い実態が報道されていました。

 譲与税の配分が、私有人口林面積、自治体人口、林業就業者数により按分されますが、そのことによって、林業が盛んではないものの人口が多い大都市に多く配分され、担い手不足や森林整備が必要な森林面積の多い地方に配分が少ない仕組みの不備が問題となっています。

 この森林環境税は、高齢者から赤ちゃんまで国民全てが負担する税金です。

 森林環境が目に見えるように整備され、地球温暖化に寄与するよう本来の目的に沿った配分になるよう早急に見直すことを望みます。


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