橋渡し役とは
- 2018年08月13日
今日は「お盆」、昨日までと違い、街の中は閑散としていました。
静かなお盆、皆さんはお墓参りや久しぶりに顔を合わせた家族と共に過ごされていることだろうと思います。
そしてこの時期は、そしてヒロシマ・ナガサキの平和式典、太平洋戦争に敗戦した終戦記念日など、鎮魂の時期となります。
そして、改めて平和への取り組みや核兵器廃絶に関わる国の態度が注目される時期でもあります。
ヒロシマ、そしてナガサキの平和式典に出席した安倍晋三氏の言葉には、被爆者ばかりではなく国民の多くが失望しました。
テレビでは式典での姿しか放映されませんでしたし、放送局のマイクは参加した聴衆のヤジは拾うことが有りませんでしたが、地元を含めた全国から取材に来た記者達は、様々な声を拾いましたし、カメラに納めました。
挨拶を終え、自席に戻る安倍晋三氏に対し、冷ややかな目線を送る幾人もの目線、批判の声を投げかける人々、その中をバツが悪そうに少しうなだれながら歩く安倍晋三氏。
6日のヒロシマに続き、9日にナガサキの被爆者団体と行った面会でも「核兵器禁止条約」とことを問われると、ヒロシマでの被爆者団体との面会と全く同じように「日本は唯一の被爆国であり、アプローチは異なるものの、核兵器禁止条約が目指す核廃絶の目標は共有している。核保有国と非保有国の対立を補う『橋渡し役』として国際社会を主導していく」と、条約参加には反対の意思を明らかにしました。
これに対し、被爆者団体からは「核廃絶の先頭に立たないなら、『唯一の被爆国』というべきではない。被爆者を無視している」、「橋渡し役とは具体的に何か、言動が矛盾している。本気で核兵器を廃絶する気はさらさら無い」、「アプローチの仕方が間違っている主導権を握れるはずがない」、「総理は何処の国の総理なのか、私たちを見捨てるのですか」などと感想を述べました。
橋渡し役というのは、核保有国・非保有国に対し、公平な立場を有することが求められますし、ましてや日本はヒロシマ・ナガサキだけではなく、ビキニ環礁で行われた核実験で被爆した第5福竜丸など核兵器による三度の被害を受け、フクシマ第1原発事故でも放射能被害を受けた国であり、本来であれば核保有国に対して核廃絶を訴えなければならない立場であることは被爆者団体が指摘するまでもないことです。
しかし日本は、核保有国である米国「核の傘の下」にあるとして、その軸足は核保有国へ、いや米国に置いていいます。
これでは、「橋渡し役」との言葉は「画餅」であり、そのことは国際社会からも見透かされています。
核兵器を「絶対悪」ではなく「必要悪」だとする核抑止論を展開する限り、日本政府はその言葉とはうらはらに被爆者を裏切り続けるでしょう。