歴史検証の目的は?
- 2015年12月27日
自民党は安倍晋三の直属組織として、党内に日清戦争以降の歴史を検証する「歴史を学び未来を考える本部」を設置しました。
これは、一連の歴史修正主義のための組織なのか、それとも単なる勉強会なのか、単なる勉強会にしては、この本部を設置した影響をどのように考えているのか判りません。
それとも、自民党には周りの影響を忖度する器量も無く、安倍晋三の行動の根源にあるお爺ちゃんの関わる戦後へのこだわりのための設置なのか、さっぱりです。
明らかなのは、東京裁判に批判的な稲田朋美政調会長が主体的に動き、初会合では「敗戦で何が変わり、占領政策で何を得て何を失ったのかをしっかりと学ぶ必要がある」と語ったようですが、そのことに主体があるならば、連合国総司令部(GHQ)の占領政策を否定することが目的であり、従って検証することによって戦後の日本の立ち位置を自虐史から脱却させようと言うことに有るのではないかと思われます。
当然その先には「南京大虐殺」、「慰安婦問題」に終止符を打ち、併せて帝国主義ではなく大東亜共栄圏のリーダーとしてふさわしい日本民族(大和民族)のイメージを形成しようとの思いが安倍晋三と共通しているかのように思われます。
戦争は、誰でもを悪魔にします。
国際法によって兵は民間人を殺してはいけないルールになっていますが、当時は英仏軍も中国共産党軍も国民軍も、日本軍もソ連軍、ドイツ軍も戦争犯罪はあらゆる国が侵していますし、そしてそれが戦争であるということです。
米軍は、東京大空襲、沖縄地上戦、さらには勝敗が決しているにも関わらず広島・長崎への原爆投下という民間人への大虐殺を行いました。
戦争を行う目的も、始め方も終わり方も全てが国益から発し、政治的に終結させていくのが戦争に関わった全ての国の常識です。
ここに来て、東京裁判や戦後処理について検証し、何をあぶり出すのでしょうか。
そして、それは国際的にも理解される結果となるのでしょうか。
戦勝国と敗戦国は、戦後70年経ってもその関係に置いて何一つ変わてはおりません。
未だに国連の常任理事国は、戦勝国の英、米、仏、ロ、中の5カ国であり、この5カ国は国連憲章を改正しない限り、恒久的にその地位が保証され拒否権も与えられている、つまり、5大国優位の原則が貫かれています。
いくら日本が常任理事国入りを望んでも国連憲章が改正しない限りあり得ず、5大国は承認するはずがありません。
そして、ここに来て「歴史検証」です。自民党は「両刃の刃」を自ら抜き放ち、急峻な谷の上に架けた一本の綱を渡ろうとしています。
考える会本部は、「国内外から要らぬ批判を浴びる」こと懸念し、意見の取りまとめは行わないとのことです。
そうなると、本部設置に何の意味があるのか、そして、一国として世界の戦後歴史に責任を持てるのか。狂っているとしか思えません。