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民間事故調査委員会

  • 2012年03月31日

福島原発について、民間組織の「福島原発事故独立検証委員会」が発表した内容については皆さんの記憶に新しいところですが、この事故調とは別に、国会事故調査委員会が3月14日に東京電力前取締役副社長(現顧問)武藤氏を参考人招致して調査した内容はほとんど報道されませんでした。
ちなみに、この福島原発事故に関わっては、民間組織の他に、国会が設置した「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」と、内閣に設置された「東京電力福島電子力発電所における事故調査・検証委員会」があります。
国会が設置した委員会は、憲政史上初めて政府から独立した調査委員会として設置されたもので、医学博士・黒川清氏を委員長に10名で構成され、4つのワーキンググループによって作業が行われており、これまで8回の会議が開催されています。
さて、この国会調査委員会でに参考人招致された武藤氏の証言には、当時の菅首相が自ら東電本社に乗り込み、厳しい口調で「全員撤退は有り得ない」と叱責したことで萎縮したと話していましたが、これは、東電側が情報を十分に伝えていないことに対する苛立ちからのようで、これまでの調査では情報を官邸に伝えない隠蔽体質が官邸との意思疎通に齟齬を来したようです。
メルトダウンについても武藤氏は「メルトダウンの定義も様々であり、一言でメルトダウンと言うのではなく、その時々の状況を説明してきたつもりだ」と弁明しましたが、責任逃れとしか受け取れません。
また、原子力安全委員会事務局や保安院からの技術的情報やサポートがほとんど無いまま斑目委員長の個人的識見で首相に助言せざるを得なかったことなどが明らかになりました。
なのに民間の事故調は菅前首相対してに厳しい報告を行いました。
下村内閣審議官は、「大きく報道された<電源喪失した原発にバッテリーを緊急搬送した時の総理の行動>についてバッテリーのサイズや重さまで一国の総理が電話で問うている様子に『国としてどうなのかとぞっとした』と証言した同席者とは私だが、私はそんな事をする菅首相にぞっとしたのではない。そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない居合わせた技術系トップ達の有様に『国としてどうなのかとぞっとした』というのが真相」と自身のツイッターで述べていました。
民間事故調を設置したのは元朝日新聞主筆が理事長を務める「日本再建イニシアティブ」で、この事故調の報告に対し、元外交官は、「民間団体の調査ではあるが、民間団体の一つにすぎず、決して政府に対する国民という意味の民間ではない。我々の立場を代弁しているのではなく親米保守の人たちが中心と思える私的な報告書であるにも関わらず、あたかも民間を代表するように大きく取りあげる大手新聞各紙はまともなジャーナリズムなのか。報告書は軽く読み流せばいい。」と批判しております。
私たちは、民間事故調、国会事故調、政府事故調などの報告を見比べ、何が真実なのか、一方に偏らず慎重に判断する必要があると思います。


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