水田活用の見直し(ブログ3826)
- 2025年02月05日
農林水産省が、食用米を生育させる水田から他の農作物への転作を支援する「水田活用の直接支払い交付金」を見直す方針を明らかにしました。
この見直しで、政府の米政策に確固たる方針が無い事が明らかになりました。
コロナ禍で外出が控えられ、食用米の消費が低迷したことと日本人の米離れを理由に、主食用米から麦や大豆などの転作を促し、水田は、今後に備えその機能を維持するために5年に1回水張りをする事を条件とした交付金制度でしたが、農家からは一度水張りを止めてしまえば、簡単に水田の戻るものではなく、交付金は今後米作りを行わないという決断を迫るものと評判の悪い政策でした。
そして、今回その見直しをする事になったのは、インバウンドが増えて日本食の需要が高まったことや昨年の米の高騰が高止まりしている現状、備蓄米放出への政府の慎重姿勢に国民の多くがに疑問を抱いていることなどが要因であると思われます。
一方、食糧自給率は、38%と主要国の中では最低のラインにあり、食料品の輸入に支障が生じたら国民は食糧確保に奔走し、さらなる高騰を招き、現実に栄養失調や飢えを国民に強いることになります。政府の不作為でそんなことになったら、政権は転覆してしまうでしょう。
今回の見直しは、水田の活用を推進し生産向上を促すと共に、小麦や大豆などの畑作も含めて農業生産性を高める事とし、輸入依存度の高い麦、大豆、飼料用作物等、水田・畑に関わらず生産向上に取り組む農業者を支援する政策に見直すということになりました。
当然と言えば当然のことであり、これまで減反に次ぐ減反政策によって疲弊した米農家、農業就労者の高齢化や離農が相次ぎ、このままでは農業後継者が育たない業種となってしまいましたが、やっと、政府も食糧は金で輸入するものという概念を変えつつあるものと思います。
食糧生産は農業・酪農・水産漁業など、政府が国策として予算をつぎ込み、きっちり確保するのが世界各国の常識です。日本も遅ればせながらかも知れませんが、確実に食糧自給率を高めていくことを軸にした政策を行うべきです。