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汚染水の海洋放出

  • 2021年10月28日

 2年後にフクシマ原発の汚染水が海洋放出されます。

 政府は、汚染水では無く処理水だとしていますが、残念ながらそう呼ぶにはまだまだ課題が解決していないように思います。

 多核種除去設備「ALPS」は2013年に導入されましたが実用化されたものではなく、8年経過した今も試験運転中の設備で、規制委員会の更田委員長も使用前検査に不備があり検査手続きは終了していないことを認めています。

 ALPSは3基ですが、未だに試作品の域を脱せず、ストロンチウム90、コバルト60、ヨウ素129、セシウム135及び137、ルテニウム106、テクネチウム99、炭素14などが除去出来ておらず、処理水を二次処理しても残る核種には半減期が長いものが多く、ヨウ素129は約1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年となっていることを東電が20年12月に発表、また、ALPSで処理できない核種があることをが18年に発覚するまで、政府と東電は「トリチウム以外は除去できている」と国民を欺いてきました。

 海水で希釈するから安全だと言われても安心が無ければ消費者は買い控え、売れないと分かっていれば流通業者は仕入れません。漁価が下がれば損害賠償。これが風評です。

 この海洋放出は、廃炉まで30年から40年間続きます。

 ちなみに東電が支払う損害賠償は、私たちの電気代に含まれ、政府が魚を買い入れればそれは税金です。

 汚染処理水は、トリチウム以外の核種も含まれる事は先ほど申し上げました。

 西尾正道:北海道がんセンター名誉院長は、「放射線エネルギーが弱いから安全というのは外部から浴びた場合であり、食物連鎖で濃縮された水産物を食べることによって体内に入れば内部被曝の原因になる恐れがあり、影響は無視できない」と話しており、日本放射線影響学会では「トリチウムは極めて低い濃度でも染色体に異常を起こす」と発表していますし、原発推進の立場と言われている日本原子力研究開発機構も、体内に取り込んだ場合、人体に極めて吸収されやすく造血組織障害や染色体異常、胎児の器官形成時への影響などが懸念されるとその危険性を指摘しています。

 政府は3月時点で貯留している約125万トンを放射性物質を除去した処理水としていましたが、基準を下回るのは約32万トン、約13万トンは濃度未測定、基準値を超えている汚染水は約80万トン、約70%は基準を満たしておらず、中には特に危険なストロンチウム90が基準値の2万倍の水もあるという現状です。

 福島県から離れていても、北海道の沿岸は太平洋沖から回遊するクロマグロやブリも定置網に入ります。これらの魚種は、食物連鎖の最終形に入る大型魚です。

 鈴木知事は、菅総理が海洋放出の処分を固めた4月9日の記者会見で、道産水産物への風評被害を念頭に「漁業団体などとも連携しながら国の動きを注視し、適切に対応していきたい」と話されましたが、道漁連や水産関係者団体、消費者団体等とどのように連携してきたのか、また、様々な懸念材料が有る中での汚染水の海洋放出は一概に賛成できないという立場に立たなかったのでしょうか。 浜は、また苦悩に晒されます。


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