泊原発の不備
- 2018年09月08日
道内の停電の大半が復旧し、少しずつ日常生活は落ち着きを取り戻しつつありますが、被災地では未だに発見されていない行方不明の方もおり、生死の目安と言われている72時間も過ぎてしまいました。
しかし、諦めてはならず、現地で努力されている自衛隊員、消防職員、警察官、自治体職員などの懸命な捜査に望みをかけたいと思います。
さて、厚真火発のトラブルに端を発したブラックアウト。
類似のトラブルは過去にも他都県で経験していました。
1987年7月の猛暑による電力需要の伸びが原因で変電所にトラブルが生じ、安全装置が稼働して発電がストップ、この結果、6都県約280万戸が停電。
2006年8月には、クレーン船のクレーンブームが旧江戸川の上を横断する送電線に接触、3カ所の変電所が停電し需給バランスが崩れて品川火発が自動停止、139万戸が停電してしまいました。
2003年のニューヨーク大停電の時、「日本は複数の系統から電源を確保しているから、1カ所の発電所のトラブルが原因で広範囲の停電は起こりにくいシステムになっている」と言われてきましたが、そうであれば、このようなトラブルは起きないことになります。何が原因だったのか、経産省と北電はきっちりと原因究明を行わなければなりません。
併せて、今後、1カ所で集中的に発電するのではなく分散した発電を行い、ブラックアウトが生じないように対策を組むべきです。
また、本州は複数の発電事業が相互に補完する広域システムが構築されていますが、北海道は、ほぼ単独の電事業者が担っていることから、これを機に北本連携線の増強も早急に行わなければなりません。
昨日のブログで、「『火発に頼るとこうだから、やはり原発が必要』という輩が出てくるのではないか」と記載しましたが、やっぱりと言うか案の定と言うか、それなりの立場の方が言い始めました。
東京商工会議所の三村昭夫会頭が、今回の全道停電を踏まえて記者団に対し「原発も含めて電源を確保しながらいろいろな変動に耐えることが大事だ」と電源の安定供給には原発が必要と訴えました。
この方は、2014年まで経産省総合資源エネルギー調査会の会長だった方です。
昨日も述べましたが、今回のブラックアウトの原因は地震であり、原発は地震に脆弱であると言うことは周知の事実です。
今回の地震でもう一つ重要なことがあります。
それは、泊原発の外部電源が全て失われたことです。
この地震で泊村は震度2でした。
原子力規制委員会は新基準策定に当たり、外部電力は絶対に電源を失わないことを基本中の基本とし、最悪の場合の対処としてディーゼルの非常用発電で電源を確保することになっています。
泊原発は3系統6回線から外部電力が供給されますが、いくら3系統があっても北海道の全電源が喪失した場合は全く機能せず、泊原発への電力供給の道が閉ざされることが道民に明らかになりました。
仮に非常用ディーゼル発電機が故障した場合はどのような対処をするのかも、想定内にしなければなりませんし、最低7日間はディーゼル発電機が稼働できますが、それ以上のディーゼル燃料備蓄も視野に入れなければなりません。
燃料プールに入っている使用済み核燃料1527体の冷却が滞れば、放射能事故にも繋がります。
今回は、そのような場合に放射能を測定するモニタリングポストにも不備が出ました。
UPZ圏内(原発から30km圏内)に設置していた81カ所のモニタリングポストの内12カ所が停電の影響で使用できなくなっていたというお粗末さです。
今回は、絶やしてはいけない泊原発への電源供給、つまり基本中の基本に問題が有ったことが明らかになりました。
これは、北電だけの問題ではなく、監督官庁である経産省や、現在、泊原発再稼働の調査を行っている原子力規制委員会にも責任が有ることになります。
道としても、しっかりと検証し、万全の対策を講じるよう経産省、規制委員会、北電に要請しなければなりません。