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法を無視した寿都町長

  • 2020年11月27日

 「週刊金曜日」11月20日号・今週の巻頭トピックに、ジャーナリスト横田一氏が寄稿した「北海道寿都町、『核のゴミ』処分場をめぐる住民投票案を否決:町長暴走、住民の意見黙殺」という取材報告が掲載されていました。

 この報告では、片岡春雄寿都町長が法を無視し独断で文献調査を進めた事、すなわち、議会審議や議決を経ず議会軽視で進めたことが、元高知県東洋町長の沢山保太郎氏や、沢村国昭寿都町議会議員への取材から明らかになった事を指摘しています。

 記事の一部を再掲します。

 <臨時議会を傍聴していた沢山保太郎さんは、「出直し選挙で私に敗れた前町長が、強引に最終処分場選定プロセスに応募した時と瓜二つ。」と振り返りつつ、次のように語った。「11日に寿都町に出した公開質問状でも指摘しましたが、地方自治法第138条の2には『地方公共団体の執行機関は、議会の議決と法令に基づいて事務を執行する義務がある』と定められています。しかし、今回の文献調査に応募には、町議会の議決も根拠となる法令もない。片岡町長の法律違反は明らかで、住民訴訟をすれば勝つ可能性は高い。

 国会や道議会で追及されても不思議では無い。」

 13日の臨時議会の審議でも住民投票条例賛成の沢村国昭町議が「町議会で分権調査の審議がなされていない。」と追求。あたかも町議会がお墨付きを与えたかのように説明した片岡町長が訂正する場面もあった。

 沢村氏は13日の臨時会が初審議の場と強調しながら、「(町長が文献調査について話をしたと主張する)『(町議)全員協議会』は、協議するする場で、議決する場所では無い。議決をするならば臨時議会や定例会に諮らないといけない。」堂々と法律違反で文献調査に踏み切った町長の姿勢は、日本学術会議法や過去の国会答弁を無視して6人の会員候補を任命拒否した菅義偉首相と重なり合う。>とリポートしています。

 この中にあった、「地方自治法第138条の2」には「普通地方公共団体の執行機関は当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規定に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う」と書かれています。

 すなわち、ここでいう「執行機関」とは首長であり、執行する行政事務は法、条例、予算、議会の議決に基づくものであり、これを首長の責任において執行する義務を負うことが地方自治の基本法である地方自治法に明記されています。

 また、議員全員が出席する「全員協議会」とは、地方自治法や会議規則に定められているものではなく、審議・議決は行いません。

 一般的には、議会から選出されている一部事務組合議員の報告や、当該自治体の課題などについて議員全員が共通の認識を持つために行われるもので、都道府県議会や都市部の市議会などではあまり例が無く、規模の小さな町村において首長が本会議前に全員協議会を開き、議案などについて議員の意見徴収を行い、本会議をスムーズに運営したいために行うケースが多いのではないかと思います。

 寿都町が日常的に全員協議会を開催していたかは定かではありませんが、片岡町長は全員協議会で議会の了解を得たもと軽く考えていたのかも知れません。

 何れにしても地方自治法による議会での議決という手続きを怠り、独断で文献調査を国に申し入れたことは違法行為となりますが、今の議会勢力では議会議決を行っても、片岡町長の思いの方向に結論が出るのではないかと思ってしまいます。


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