海自・特定秘密(ブログ3634)
- 2024年07月19日
自衛隊の不祥事が連日のように新聞などを賑わせています
とりわけ、海自の艦艇内で起きた特定秘密を巡る杜撰な取り扱いは、「あ然」としか言いようがありませんでした。
戦闘指揮所:CIC(combat information center)は、自艦の行動を指揮する最重要区域であり、そこには多くのモニター画面が映し出され、自艦及び友艦の航行状況、敵艦及び戦闘機の航行情報、それらを基に分析した内容を上官及び指揮官が判断し、戦闘方針等を決定し各部署に指揮する部署となっています。
近年、200海里・排他的経済水域の設定後、海洋権益は海に面する国にとって最重要の位置づけとなっており、離島防衛、災害救助、シーレーン確保、対潜哨戒、有事の際の揚陸、輸送など、そのために各国は軍事誇示に空母の存在を競っています。
日本は、憲法によって専守防衛を国是としてきましたから、空母は専守防衛の艦船に非ずという方針を取ってきましたが、苦肉の策としてヘリコプター搭載型護衛艦と称し空母型の「いずも」を建造、今は、安保関連法の改正により敵基地攻撃も行う方針の政府は「いずも」を軽航空母艦に改造して短距離離陸と垂直着陸が可能なF35Bを積載する予定になっていますし、2艦目として「いずも」と同型の「かが」も建造されており、イージス艦や潜水艦などと護衛艦隊群を構成しています。
既に中国は空母「遼寧」をはじめ、複数の空母を建造させ、更にそれら空母を中心として海洋に進出しています。
そのような状況下にあって、今は、日・米・韓の合同演習やクアッド(QUAD=日・米・豪・印)での合同演習、オークス(AUKUS=豪・英・米)の訓練への協力など、海洋を中心とした自衛隊が参加する多国間の訓練が年々増加しています。
自衛隊が参加した合同訓練は、2011年には8回、2016年には30回、2022年には46回におよび、さらに近年にはインドネシアやフィリピンなど太平洋諸国もこれらの訓練に参加しています。
話しを戻しますが、このような訓練において、CICの情報とそれに基づく訓練は参加国の艦船などのCICと共有することによって進められます。
今回は、特定秘密を扱う資格者以外の自衛官がCIC任務に就き、情報に触れることが明らかになりましたが、自衛隊員は当然のごとく「守秘義務」が課せられています。つまり、訓練に参加する全ての自衛隊員は、実戦になれば運命共同体の一員となるわけで、各部署における様々な情報を共有しなければ、一丸となって事に当たることが難しくなるのでは無いかと考えます。そうなれば、海上自衛隊員はすべからく濃淡はありますが特定秘密に触れることになりますから、有事に際しては区別することは不可能だと思います。全員が特定秘密に触れる対象者となり得ます。
従って、特定秘密保護法による適正評価などと称して、①テロリズムとの関係(思想)、②犯罪・懲戒の経歴③情報の取り扱いについての非違歴(違法行為歴)④薬物の濫用・影響⑤精神疾患⑥飲酒についての節度⑦経済的な状況 を改めて評価すると言うことは、これまで艦船に配属される場合に、これらの配慮がされていなかったと言うことだったということです。今回の事案は、そのことのほうが問われるべきではないかと思います。
私は、自国の安全保障は1にも2にも外交を最重視すべきであり、衝突は絶対に避けるべきだと考えています。今日は、その論とは別に現実的な状況への危惧に触れました。
皆さんはどのようにお考えでしょうか。