消費税増税の前に
- 2012年02月29日
民主党は「社会保障と税の一体改革」を名目に消費税の増税にひた走っています。
確かに年金、医療、福祉、介護等をこのまま維持していくには国の財源が逼迫しており、今の水準を保つことさえ出来なくなるという現実は受け止めなければなりません。
先般、民主党北海道の主催による「社会保障と税の一体改革:学習会」が開催され、民主党中央から、社会保障と税の一体改革調査会事務局長代理:柚木道義衆議院議員、民主党税制調査会事務局長:古本伸一郎衆議院議員が講師として、「安心を支え合う日本へ」という冊子をもとに講演を行いました。
確かに、毎年1兆円ずつ増える社会保障費や、団塊の世代が年金の給付を受ける時代に突入するのは現実の問題として理解しますが、社会保障と税の一体改革であるならば、まず、不公平税制の是正を行うべきではないかと私は考えます。
所得税、法人税、贈与税・・・これらは大金持ちや大企業にとって是正して欲しくない税制となっています。
まずは、「輸出戻し税」ですが、これは商品の輸出にかかる消費税が全額還付される税で、仕入れまでの段階で他の事業者が負担した消費税が全額戻ってくる仕組みとなっています。例えば、車を作る場合、部品等の仕入れには消費税がかかりますからメーカーは負担しますが、輸出する場合、相手国に日本の消費税制度を上乗せすることが出来ないため、消費税分が全額戻ってきます。
しかし、どうでしょう。
車一台を売る場合、仕入れ(消費税5%も含む)・人件費を含めた総経費に利益を加えて価格を決め、輸出するはずです。
従って、メーカーは損をしていないにもかかわらず、メーカー自身の消費税はゼロ、仕入れにかかった消費税は全額還付という「輸出戻し税」、2010年度の還付金は3兆3762億円で消費税収12兆475億円の28%に相当し、最も恩恵を受けているのはトヨタ自動車2106億円、次にソニーの1060億円、これが消費税10%になれば単純に2倍となるわけです。
莫大な利益は役員報酬や株主配当に充て、残りは内部留保とし、下請け労働者などにはまわるはずもありません。
このことを、トヨタ自動車出身で講師として説明を行った民主党税制調査会事務局長:古本伸一郎衆議に質問したら、「今は輸出戻し税は有りません。」と迷答弁。
民主党は、臭いものに蓋をせず、情報を開示して議論に供すべきと思います。
(参考:週刊金曜日)