消費背増税の前に(3)
- 2012年03月02日
所得税は累進課税で、富める者が多くを負担することが基本となっており、これが社会保障の基盤となるものです。
この10年間で、年収が5,000万円以上の会社員は、1999年が8,070人で、総額は6,227億円(平均約7,700万円)だったのが、2008年には19,982人となり、総額は1兆9,982億円(平均約1億1,700万円)と増加しました。
しかし、これは企業の役職などだけで、自由業や投資家を加えると5万人を超える高額所得者がいるということになります。
一方、1983年に19段階あった累進税率が、2007年には6段階となり、1億円以上の所得がある高額所得者は83年に比較すると35%の減税、6,000万円以上は30%、4,000万円以上は20%、2,000万円以上は15%、1,000万円は9%、500万円は5%、300万円は1%の減税となりました。
高額所得者の減税率が大きく、所得が低くなるほど減税の恩恵は少なくなります。
09年度の確定申告での課税所得2,000万円以上の納税者は22万5,243人で、この方々の減税額は2兆2,250億円となりましたが、かたやこれまで、定額減税の廃止で庶民には実質増税となり、介護保険・雇用保険・大学授業料等の引き上げ、生活保護の老齢加算や母子加算、年金給付額の減、失業手当の減、障がい者医療の縮減と自己負担額の増などが行われました。
課税所得が2,000万円以上の方々の減税額2兆2,250億円を止めれば、子供と高齢者の医療費の無料化や後期高齢者医療制度の廃止、介護保険料・利用料の減免、障害者自立支援法による応能負担の撤回、生活保護の老齢加算の復活等が可能になるそうです。
最高税率を消費税導入前の65%程度に戻し、1986年並の累進税率15段階くらいにすることで可能とのこと。
また、金持ちは、収入全てを消費せずに貯蓄や投資にまわします。
従って、総資産額から負債額を引き去った一定額の純資産も課税対象とすれば、消費に向かうことにもなります。
さらに、高額所得の方の贈与税についても検討を加えるべきですし、住民税は所得に関係なく一律10%となっており、これも見直すべきかと思います。
消費税増税の前に、不公正税制を是正する。
このことをナゼ行わないのか。民主党税制調査会の皆さんに期待したいと思います。
(参照:週刊金曜日、財務省「所得税の税率構造の推移」)