漁業法の見直し
- 2018年11月12日
6日、政府は「漁業法等の一部改正案」を閣議決定しました。
以前から規制改革推進会議で提案されていたものですが、ここに来て政府が「漁業を成長産業にする」という方針を立て、70年ぶりの大きな改革に着手することを決めました。
この改革は、①資源管理という名の下に各船舶ごとに漁獲量を割り当てる。②漁業許可は船舶の規模に関わる規制を見直す。③漁協が調整していた漁業権を民間にも開放する。というものです。
この問題について全国の沿岸漁業者が危機感を共有し、緊急フォーラムを東京で開催しました。
この改革について、東大大学院の鈴木宣弘教授は「この法案は3つの重大な問題を抱えています。まず、沿岸部に住み、長い間漁業を支えてきた人たちの生存権が脅かされること。水産資源を守るために作った共同体やルールが大企業の利益主義によって破壊されること。そして漁業権が他国の巨大資本に売買され、安全保障上の問題に発展することです。かつて漁民がいた尖閣諸島だって、人が住まなくなって領有問題が起きた。資本の論理で漁業を開放すればとんでもないことになる。」と話し、また、帝京大学の加瀬教授は「農協を弱め、企業が参入したい農業分野だけを効率化して残す論理と同様に、漁協を弱めて企業が参入したい漁業分野だけを効率化して残す構想が覗える。この改革が進めば沿岸漁業と漁民は多大な打撃を受け、対立と混乱の中に置かれてしまう。」と危惧しています。
緊急フォーラムでは、「現行システムでも何も問題が無いのに、ナゼ強行するのか。」、「今回の改革案は企業のみが得をする改悪でしかない。」、「沿岸漁業の将来像が見えてこない改革案。丁寧な説明もなく、ものすごい速さで進めようとしている。自分の地域にも漁業に携わろうとしている新たな仲間が加わったが若い彼らのことを考えると悲しくなる改革案だ。」などの声が出されたようです。
北海道は周りを海に囲まれた沿岸漁業が主体の全国で一番の水産漁業大国です。
そこを選挙区とする吉川貴盛農林水産大臣は「必要な見直しは行っていく」と話し改革案を強行しようとしています。
農協改革で農業者の足腰を砕き、国際貿易協定で日本農業を壊すだけではなく、次は、漁協改革で地域の漁業調整を骨抜にし、漁業権の民間開放で漁師の生活を脅かす。
吉川農水相は本当に農家や漁師のことを考えているのでしょうか、それとも規制改革という名の下に安倍晋三氏のイエスマンに徹するのでしょうか。
いつものように小手先の補助金などで騙されないように、農家と漁師は怒りを選挙に向けなければなりません。