無期雇用の抜け穴
- 2017年11月09日
2013年の改正労働法で、1年間の有期雇用期間を5年間継続して勤務した場合、当該労働者の希望によって、企業は1年ごとの契約ではなく期限を切られることなく継続的に雇用しなければならない「無期雇用制度」という制度が出来ました。
しかし、この制度が本格的に導入される来年4月を前に、期間従業員を多数抱えるトヨタやホンダなどの主要自動車メーカーが、この制度の導入を避ける意図で、雇用ルールを変更することが判りました。
これは、制度導入当初から危惧されていた問題で、5年間の内に6ヶ月以上の空白期間があればこの制度が適用されないことから、雇用主側が意図的に1年間の継続した雇用のうち一回だけ半年間の雇用契約にすることで、通算の5年間にはならず労働者の無期雇用の権利が発生しないことを利用したものです。
これは、制度導入時の企業側の要望であったことから、問題視されていました。
自動車工場などの期間従業員は、これまで1年契約で昇給も無く、会社の都合で雇い止めされていました。
リーマンショック以来、大量の雇い止めが社会問題となったことから、契約期間が終われば雇い止めされる可能性のある不安定な非正規社員を減らす目的で、施行から5年後となる来年の4月から無期雇用に切り替わる制度でしたが、今回の自動車大手の対応は、制度導入を待ち望んでいた非正規社員にとって、冷徹な仕打ちとなってしまいました。
安倍晋三の働き方改革とは所詮このようなもので、口でいくら良いことを話しても、内実は企業にとって「抜け穴」が用意され、企業が不利にはならないものとなっています。
このことで、企業の内部留保が1社で数兆円も有る企業でさえ、労働者に全く還元する気がないことが明らかになりました。
大企業がこうであれば、一般企業は推して知るべしですし、更に中小企業は当然のように「空白期間」を最大限利用することでしょう。
もし、本当に安倍晋三が労働者のことを思って無期雇用を推進するのであれば、この「空白期間」という例外は、1日も早く削除するべきです。