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熊出没への対処(ブログ3384)

  • 2023年11月04日

 熊の出没が大きな問題になっています。

 原因は、巷間言われている通り熊の生息地である「山奥」に餌がないこと。

 温暖化、取りわけ今年の夏は単に異常ということばでは表現が甘すぎる位の暑さでした。 まさしく国連のグテーレス事務総長が表現していたように「地球が沸騰している」という言葉が適切で、11月に入ったにもかかわらず昨日は函館でも22℃という考えられない気温でした。例年で有れば、11月初旬から平地でも雪がちらつき、ガソリンスタンドもタイヤ販売店でもタイヤ交換で忙しい時期ですが、そんな気配はありません。

 この気候は、豊穣の秋であるはずの山奥にも大きな影響を及ぼし、熊の餌になる「ドングリ」の実や木の実、キノコなどの他、河川を遡上するはずの鮭もめっきり減っており、テレビでは知床の痩せ細った熊が海岸で餌を探している姿を映していましたが、痛々しくさえ思えます。

 さて、山奥に餌がなくなり、市街地との境界である里山に熊が降りてきて、畑作や果物に被害を与え、さらに市街地にまで餌を求めて姿を現しています。

 渡島・桧山の各首長の方々に参加いただいた今年の「道政懇話会」では、何処の首長も熊の問題に苦慮している事を訴えられました。

 熊が市街地に現れた通報を受け、自治体職員と猟友会の方そして警察が一体となって大きな音を出すなどしても、空腹を満たされない熊はたじろぐことなく、こちらを威嚇してきます。

 しかし、猟友会の方がいても、警察官が猟銃を発砲しても良いという許可を下してくれなければ発砲が出来ません。

 これは、警察官職務執行法(警職法)」に基づき、熊に襲われそうになり、命が危険な状況になるなど緊急避難的な場合にはじめて許可を出すという法律の縛りがあります。

 仮に、自治体職員と猟友会の方が先に駆けつけて、そのような状態に置かれたとしても警察官の許可がなければ「市街地における発砲」はできないということです。

 国会でも、徳永エリ参議が予算委員会で質問しましたが、警察庁は<緊急避難というのは、あくまで刑法上の「違法性阻却事由」になると思うが、事後にそれが違法性阻却事由に該当するのかどうかが問われる。>という答弁です。これでは即応性に欠け、現実性がない事になります。

 したがって、警職法の解釈や適用事例などを現場に即した具体的なものとして自治体に通知してくれなければ、里山に近い市街地では常に不安な生活を強いられてしまいます。

 また、熊は、環境相の「指定管理鳥獣(増えすぎて数の管理を行う必要があり駆除の対象となる鳥獣⇒現在はニホンジカとイノシシ)」に指定されていないことから、その個体は管理対象外になっています。すなわち、熊は保護が必要な野生動物と言うことで、今年のように頻繁に人里に現れるようになっても、駆除(殺害)では無く、捕獲して山に戻す事が基本となっています。

 一方、今年のように山に餌がない状況では、捕獲して山に戻しても、また人里に降りてくることから抜本的な対策にはなりません。

 指定管理鳥獣に指定されれば、農林水産省の「鳥獣被害防止総合対策交付金」の対象になり、自治体として、緩衝地帯に熊の餌となる木の実などの植樹や、電気柵の設置などの対策が行えるようになります。

 政府は、専門家の科学的知見と、熊出没地域の現状に即した対応を検討するべきではないでしょうか。


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