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物流の24年問題(ブログ3558)

  • 2024年04月29日

 物流の24年問題が深刻さを増しています。

 今日の新聞にも、道内の大手企業の約8割が自社の業績に「悪い影響がある」と認識していることが経営動向調査で明らかになりました。

 その中で、運送業者に支払う運賃に関しては、約6割が「値上げした」または「値上げを検討中」と回答しています。

 北海道は広域分散型の地域であり、都市間も距離が離れていることから、輸送コストが幅広い業種に影響を及ぼしています。

 今年に入って、輸送業者が共同して配送を行ったり、トラックヤードを中継基地としてドライバーの拘束時間を短縮する試みが始まっていますが、一方ではドライバーの収入が減少することによって離職や他社への転職が進むことも問題化しています。

 2019年、政府が働き方改革を実施しましたが、この時に、時間外労働がダントツに多い職種である「医師・建設業・輸送業」を5年間猶予し、2024年4月から導入することにしました。これらの職種の時間外労働は、当時から過労死を招く月80時間を優に超えている実態が恒常化しており、過労が原因と思われる死亡例や事故も社会問題化していました。

 それでも、すぐにこれら専門職の数が増える訳でもないことから5年間の猶予をする事にしましたが、政府はこの5年間、問題解決のために何か行ってきたのでしょうか。

 働き方改革が目の前に迫っても、政府は不作為を続けてきましたし、業界もそれに甘んじてきたのでは無いかと思います。

 また、私たち消費者にも問題があります。物流に関して言えば、ネット販売が消費の主流を為してきているにもかかわらず、相変わらず、「送料無料」を求める傾向が収まりませんし、それが商品決定の判断材料にもなっていますから、販売業者は送料無料を「売り」にしています。

 しかし、物流関係者にすれば送料が無料のはずは無いのです。つまり、送料は消費者以外の誰かが負担しているということになります。

 ネット販売は安さが魅力であり、商品の値段もギリギリのラインで出されますから、販売業者が全ての送料を負担することにも限界があり、輸送業者に負担の一部を求める事は商取引上あり得る、いや有るのが当たり前なのかも知れません。

 また、商品が手元に届く期間の短縮や、配送時間の指定という消費者のワガママも際限がありません。

 商品に送料が生じるのは当たり前であり、配送期間にも理解を示し、時間帯指定を極力「置き配」にする事も消費者が出来る物流への配慮では無いかと思います。

 そのことで、ドライバーの負担は軽くなり、時間外労働に頼ること無く収入も確保されることになります。

 このまま働き方改革を進め、一方でドライバーが減少すればどうなるのか。

 答えは簡単です。物流が滞り、消費者の手に届くことに大きな支障が生じるということです。物流の24年問題解決には、消費者も当事者であることを自覚しなければならないと思います。


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