物流崩壊の危機(ブログ3133)
- 2023年02月09日
大手の宅配会社が送料の値上げに踏み切ることになりました。
燃料費の高騰の影響はもちろんですが、ドライバー確保のための賃挙げも大きな原因となっているとのこと。
ここに、一つの統計があります。
ベストセラー『未来の年表 業界の変化 瀬戸際の日本で起きること』によると、2030年には10億トン以上の荷物の配送が出来なくなると警鐘を鳴らしています。
それによると、宅配ドライバー不足は、単に需要の伸びだけでは無く、荷主企業が消費者の要求にきめ細かく応えるべく、時間指定配送や当日配送といったサービスの高度化により、輸送能力が追いつかなくなっているとのこと。
その背景には、製品の性能や品質、価格の優位性という商品そのものの価値だけではなく、商品を届ける「利便性」までを含めた付加価値向上を求める発荷主が増えた事が背景にあるようです。
着荷主(ユーザー)が細かなサービスを求めれば、そのしわ寄せは発荷主から配送会社へと流れ、その条件が受け入れられない配送会社は淘汰に繋がっていくことから、厳しい条件の仕事であっても受注する事になり、そのために配送会社のドライバーは大きな負担を強いられることになります。そして、ドライバーの離職へ。
離職を抑え、一方で高付加価値を維持するには、当然のことのように送料を値上げしなければ成り立たなくなります。
私たちは、利便性を含めた高付加価値を求めれば価格に反映することは当たり前である、と意識を変えなければなりません。
これまでの無償のサービスでは限界で、サービスにはそれなりの価格転嫁が当然だということです。
少し前までは、テレビショッピングでもカタログショッピングでもネットショッピングでも、「送料無料」である事が当たり前であると着荷主側は勝手に求めていました。
このことについては、これまでもブログで指摘していましたが、日本ロジスティックシステム協会の報告書によると2015年にはトラックやライトバンによる輸送について、需要と供給は約29億2,000万トンでバランスがとれていましたが、25年には需要の約31億1,000万トンに対して供給は約22億6,000万トンと約8億5,000万トンが運べなくなり、30年には約31億7,000万トンの需要に対して供給は約20億3,000万トンにとどまり、36.0%に当たる約11億4,000万トンが運べない事になります。
商品の3分の一以上がユーザーの手元に届かないと言うことが現実となれば、配送に関する常識は大きく変わってしまうことになります。
その頃には、ドローンによる配送が日常的になるのでしょうか。