独断と偏見
- 2020年09月04日
昨日、鈴木知事が片岡寿都町長と公開で会談を行い、その中で片岡町長が、「①日本が核のゴミに関してあまりにも無責任な態度をとり続けると、外交にも影響が出てくる。②条例が法律の上に行くのはあり得ない。③最終処分が前提だから、やる気が無く手を挙げるのは、国に対して失礼な話だ。④個人的には最後の精密調査までいくべきだと考えている。⑤これからのまち作りの主役は今の若い人。20年後の産業がどうなっているか見すえた中で、皆さんが選ぶ。私は決して強要するつもりはない。」等の内容を知事に伝えた様です。
しかし、これらの発言は少々自己中心的な、そして現実を理解していない面があると感じます。
①、世界中で高レベル放射性廃棄物の最終処分場を有しているのはフィンランドのみで、オンカロと呼ばれる最終処分場だけです。隣のスウェーデンでは処分地をやっと決定、核大国であるフランスは候補地を絞り込む段階となっていますが、その他の原発立地国には最終処分場はありません。それで各国が外交に支障を来していると言うことはありません。
②、条例が法の上を行くことはありませんが、法の不備を補うことは出来ます。
道の条例は、北海道に特定放射性廃棄物(核のゴミ)を持ち込まない事を法とは別に条例で定めたものであり、条例を遵守することを義務づけられ、また自ら条例を提案する首長が条例を否定する事は天に唾する行為です。
③、色々言い訳をしていますが、国は文献調査のみでも意義があると言い、一方で、様々な手法を使って寿都を最終処分場にすることを目指します。既に片岡町長は国との関係で抜き差しならぬところまで行ってしまったことを白状したようなもので、それを繕うような言葉です。失礼なのは、周辺自治体や各種団体、町民や道民に説明も無く道内全ての方々に影響のある判断を勝手に行った町長です。
④、既に町長は高レベル放射性廃棄物の最終処分場立地の判断を下していると言うことです。例え「個人的」と言い訳をしても、政治家であり首長である町長が口にした事は自らが責任を負わなければなりません。
⑤、にも関わらず、若い人が判断する事であり、自分は強要しないとは、責任逃れも甚だしいと言わざるを得ません。
ラジオでこういうCMが流れました。<男の子「1年後の僕はレギュラーになっているかなあ」、女の子「1年後を因数分解すれば、今になる。だから今、何をするかでしょう」、男の子「そうか、今が大事なんだ」>。
20年後の寿都町を、いや北海道を左右するのは、今、文献調査をするかしないかではないでしょうか。
知事が、片岡町長と会談をして、「話がすれ違うところがある」と感想を述べたのは、そういうことだと思います。