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玄海原発訴訟(ブログ3760)

  • 2024年11月30日

 年が開ければあの能登半島地震から1年が過ぎたことになります。

 能登半島の復旧は遅々として進まず、やっと横倒しになったビルの解体が始まったようですが、災害廃棄物の処理もままならず、爪痕はほとんどそのまま残り、被災者はトラウマから解放されることは有りません。

 遠く九州では、最終処分場の文献調査に手を挙げた玄海町にある「玄海原発」の「全基運転差し止め訴訟控訴審」の原告側意見陳述が福岡高裁で行われました。

 意見陳述を行ったのは「新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会」の上岡直美さん。上岡さんは、これまでの意見申述に加えて能登半島地震レベルの地震が起こった場合の九州電力(九電)の緊急対策について、対応が大丈夫なのかという視点で話をしました。指摘した各点は、

◆避難経路の407カ所で通行止めや通行規制などが生じた場合への対処。

◆被災者の自宅周辺にあるアクセス道路ではそもそも避難経路に出られない。

◆海岸地形の地形変状や港湾の損傷で海路避難はほとんど不可能に。

◆家屋損傷やライフライン途絶で屋内退避がほとんど不可能に。

◆モニタリングポストの欠測で、避難、一時避難の判定が不可能に。

◆道路の支障や職員の参集不能によって避難退避時検査等の場所の開設が不可能に。

◆安定ヨウ素剤の服用や配布が出来なくなる。

◆停電やインフラの途絶によって情報取得が出来なくなる。

◆給油所の機能停止により燃料を入手することが困難に。

◆放射線防御施設も損傷する。

◆避難も屋内退避も出来ない場合、基準を上回る被爆を避けることが出来ない。

 これらは、能登半島地震で起きた事実であり、仮に志賀原発に事故が起きた場合は、手も足も出ないと言うことを示し、ましてや珠洲原発が建設されていたら、第2のフクシマとなっていたでしょう。

 これを訴訟を行っている玄海原発に当てはめた場合、避難計画の実効性は乏しく、さらに、避難に関わる悪条件は、ほぼ全ての原発に当てはまる内容です。

 泊原発の場合は、これに冬期間の積雪・寒冷が加わります。寒さはそれだけで命を奪います。能登半島地震から約1年。指摘されていることが1つでも解決されたのでしょうか。

 原発は電気の問題では無く、被爆という問題で有ることを改めて指摘した意見陳述だったと思います。


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