玄海町の文献調査(ブログ3544)
- 2024年04月15日
九州電力玄海原発の立地自治体である玄海町の商工3団体(旅館組合・飲食業組合・建設業協会)が、町議会に文献調査に応募することを求める請願書を提出しました。
議会への請願書には推薦議員が必要なことから、町議会議員の方が名を連ねたのでしょう。その方だと思いますが、「全国的に処分場の選定議論が進まない中、立地自治体で文献調査をする意義がある。一石を投じたい。」と話し、請願を提出した商工3団体は「地域の暮らしが良くなるため」と提出理由を話しました。
玄海町では、町と町議会がここ10数年にわたり最終処分場の議論を進めてきた経緯があるとのことですから、ある意味、相当煮詰まっていたのでは無いかと想定されます。
そこに、2018年に就任した脇山伸太郎町長が文献調査に慎重な考えを示したことから、商工3団体と町議会が、満を持しての請願となったのではないでしょうか。
私は、この玄海町議会への請願に、複数の疑問を感じています。
まず、東日本大震災後、全国の原発が休止を余儀なくされ、玄海原発も4機の内1・2号機が廃炉となりったことから、当然のように原発交付金や固定資産税が減額になり、大きな痛手となりました。
しかし、そのことが遠因であるとすれば、思っていたよりも原発交付金に依存した財政運営をしてきたのではないかということです。そして、それは、商工3団体の提出理由とも合致します。なぜ、交付金に頼らない街づくりを怠ってきたのでしょうか。
また、町議が言うように、原発立地自治体だからこそ、最終処分場への文献調査に手を挙げる意義があるというならば、道議会での議論と通じるところがあります。
道議会与党の皆さんも、同じように「原発立地自治体の責任がある」として、一歩進んだ概要調査への移行を主張しています。
玄海町議会や北海道議会が、「原発を稼働させてきたのだから、そこから出る廃棄物には責任があり、中心になって検討を進めるべき」というのであれば、福島原発や、志賀原発の立地自治体も例外ではないということになりますが、果たしてそうでしょうか。
原発は、事故の時に被害を最小限にする事を考慮して人口密度の低い過疎地域に建設をしてきました。そして、その恩恵を一番に享受してきたのは、大都会です。すなわち、責任を広く公平に分担するには、東京都・名古屋市・大阪市・福岡市・横浜市・札幌市などの人口集中地域を選定すべきとは考えられないのでしょうか。
当然、NUMOは安全を主張するのですから、大都会でも問題は無いはずです。
今の所、山口佐賀県知事は「既に佐賀県は現発を立地しており、これ以上新たな負担を受け入れる考えは無い。」と話していますが、文献調査は基礎自治体の判断ででき、知事の判断は概要調査からなので、何とも言えませんが、町議会と住民がどのような判断を行うのか、全国的にも注目を集める事になります。