生活保護
- 2013年01月09日
北海道新聞の社会面に年明けから特集が組まれています。
「救いの手はどこに~生活保護の今」6回の連載となっていますから、目にされた方も多いと思います。
大阪の芸能人の母親が生活保護を受けていたとのスクープから、生活保護の不正受給、そして、生活保護を受給している人へのバッシング、命のセーフティーネットである生活保護の中身を余り知ることのない政治家の言動。
流れは、支給内容の削減へと向かっています。
今回の特集は、生死の狭間でようやく受給できた方の声と、制度も含めた社会的な歪みを分かりやすく解説し、生活保護への理解と課題の解決に一石を投じた内容となっていますが、これまでの報道は、「過去最高210万人の生活保護受給者」「生活保護の不正受給」など、生活保護が蔓延しているかのような、また、生活保護受給者の多くが不正受給しているかのような偏ったものとなっていました。
ここで、改めて生活保護のことを数字で表してみます。(2010年度版 国立社会保障・人口問題研究所 世帯類型別被保護世帯数及び世帯保護率の年次推移より)
○生活保護を受給している世帯
・高齢者世帯 :約42.9%
・傷病者、障がい者世帯 :約33.1%
・その他世帯(20~64才):約16.2%→倒産又は解雇等で就職先が見つからない世帯で、半分以上が50才以上
・母子(シングルマザー)世帯 :約 7.7%
・不正受給とされるのは :約1.8%
したがって、98%以上は適正受給と判断されています。
○生活保護の補足率(生活保護を受給できる人がどれだけ受給しているかを示す数字)
・日 本:18%
・スウェーデン:82%
・フランス:91.6%
・ドイツ:64.6%
したがって、生活保護を受給できるくらい低所得でありながら、実質的に受給を受けている世帯は2割以下となっています。
○生活保護率(全人口の中でどのくらいの人が受給しているかを表す数字)
・日 本:1.6%
・スウェーデン:4.5%
・フランス:5.7%
・ドイツ:9.7%
日本の貧困率(一人暮らしの場合、月に約9万3,000円以下で暮らしている人)は16%となっており、貧困ライン以下の収入しか無い世帯の約1割しか受給していません。
問題は、生活保護が必要なほど困っている方々の多くが受給していないことであり、餓死や孤立死に至る事案が増えている中、命のセーフティーネットである生活保護に対する周りの忌避意識や制度に関わる情報や知識が不十分であること、また、一部の行政窓口の対応の中で、あきらめざるを得ないように誘導することなどもあるようです。
生活保護は怠け者の生活扶助では無く、生死に関わることであることを私たちは改めて認識しなければならないと思います。