画餅の泊原発避難計画
- 2018年07月29日
泊原発に事故があった場合の避難計画が道によって策定され、これまでこの計画に沿って現地の避難訓練が行われてきましたが、この度、北海道新聞が避難計画の中核を担うバス会社に対し、事故時のバス輸送について取材をした結果、計画に盛り込まれている道央のバス会社6社が、「現状では住民の避難輸送が困難である」と回答しました。
この結果を道はどのように受け取ったのでしょうか。
「バス会社に対する運行要領の周知、理解促進が足りなかったのかもしれない。バス会社の不安や疑問点などを聞き、必要に応じて要領の改善に取り組み、実効性のあるものにしたい」とコメントしています。
運行要領の周知とは一体何でしょう。
事故があった場合、その状況に応じてどの会社がどこの集合場所にバス何台を派遣し、住民を乗せて、どこで「安定ヨウソ剤」を配給、どこの地域の住民はどこのルートを通り、どこの避難場所へ送り届ける。という運行要領は既に関係団体の会議によって周知されていたはずではないのか。
理解促進が足りなかったとは、何の理解が不足していたのでしょう。
原発事故時に起こる事態は、その事故の規模や状態によって違いがあり、それによって放射線がどのように拡散するかは未知数であること、その場合、ドライバーはどのような防護策が必要か、会社はそのことを十分に理解し、ましてや所属ドライバーへの研修等を行っていなければ、リスクを負うPAZ(5km圏内)やUPZ(30km圏内)への派遣を了承し、協力するという判断には立たないはずで、道はその理解促進を軽く見ていたということになります。
必要に応じて要領の改善に取り組み、実効性のあるものにしたい。と言いますが、放射線に対する内心の不安やドライバーの家族への理解は、要領の改善では解決するものでは有りません。
現に、協力できないという会社は「安全が確保できない所に派遣は出来ない」、「労働組合との調整も済んでいない」と回答し、他の会社も「道とバス協会が結んだ要領自体に同意しているとか、理解しているわけではない」、「従業員に周知もしていない」と答えています。
UPZ圏内には約7万5,000人の住民がおり、最大で1,800台以上のバスが必要となります。
この問題について、以前、住民の避難計画については現実性に乏しいことを指摘しましたが、道は意に介せず「大丈夫」と胸を叩きました。
これまで、事故が起こらなかった事は幸いでしたが、泊村の村長も「計画は絵に描いた餅だ。避難計画自体を考え直さなければならない」と語気を強めています。
今後、道は、避難計画の中核を担うバス輸送について、道民とりわけPAZ、UPZ圏内の住民が納得する計画としなければならない責務が有ります。
他にも、海上避難輸送の弱点は解決しておりませんし、ニセコや倶知安の訪日外国人への避難対応も十分ではありません。
いつまでにどのような内容で見直しをするのか、次期道議会定例委員会や本会議で厳しく追及しなければなりません。