異常な防衛費
- 2017年12月26日
防衛費(軍備費)が青天井の様相を呈してきました。
来年度予算に関する防衛費は5兆1,911億円、優にGDPの1%枠を突破し、2%へと果てしなく膨張し続けています。
とりわけ、米国製の兵器の多くはFMS(軍需産業と日本が取引をするのではなく、米国政府が窓口となって日本政府と直接取引する有償軍事援助=米国が見積もった金額を日本が前払いした後に納入が始まり、納入が完了した後に精算して価格を確定させる。従って後に価格が上がることもある)での購入となり、イージスショアでは1基当たり当初800億円と国会で答弁していましたが、その後、防衛省は約1,000億円と修正、僅か半月で200億円も値段が跳ね上がりました。
いわゆる米国政府の言い値で購入すると言うことで、定価など無いに等しい一方的な取引となっています。
そして、購入が決まれば、自衛隊員を米国に派遣し、有償でその操作の教育・訓練を長期間(1年以上)にわたって受けなければ、自前での操作が出来ません。
イージスショアは24時間体制となることから、1基当たり約100人の自衛隊員が交替で運用することになり、2基で200人以上の自衛隊員が操作の教育・訓練を受けるために渡米することとなります。このため防衛省では新たな部隊を編成することにしました。
イージスショアのオプションとして、より高性能のレーダーを米国から購入すれば総額は更に跳ね上がりますし、高額な最新鋭の兵器はその維持管理や修理費も半端な額ではなく、併せて巷間言われているように北朝鮮が複数の弾頭を同時に発射すれば迎撃は困難となり、宝の持ち腐れともなりかねません。
さらにFMSでの購入する高額の兵器は、複数年での分割払いのため「後年度負担」が大きくなり、将来への影響が半端ではなくなります。
すでに、兵器購入費の約4,800億円以上が来年度負担となっているとのことです。
さらに、防衛省はイージス艦を20年度までに4隻→8隻体制に、PAC3部隊16隊→24隊とするミサイル防衛に2兆円をつぎ込む考えで、その他に護衛艦の「空母化」を目論んでいます。
「空母」は文字通り攻撃型の艦船であり、護衛とはほど遠い存在です。
現在、海上自衛隊には艦首から艦尾まで248mの甲板が貫くヘリコプター搭載型護衛艦(ヘリ空母)を4隻保有していますが、これに導入が決まったF35Aの改良型である垂直離着陸が可能なF35Bを搭載する案が考えられている他、将来には中国の空母「遼寧」のような艦首がスキーのジャンプ台のように改良して戦闘機の離陸を容易にする「空母」も構想されているとのこと。
これらは今まで自民党が「専守防衛」から逸脱しているとして導入を拒否していたものですが、安倍晋三になってから、国会審議も全く無視して閣議だけで遂行しようとしています。
ここまでするのであれば、米国との同盟などまったく必要なく、日米安保を破棄して自国軍を保持すると主張した方が分かりやすいと思います。
「9条」とともに「専守防衛」も風前の灯火となってきました。