相互ビザ免除協議停止
- 2019年10月26日
プーチン大統領が16年12月の来日時に提案した、「北海道とサハリン州の地域住民を対象とした短期査証(ビザ)の相互免除制度」について、日ロ双方が断念しました。
現在、ロシアが主張している「領土問題は第二次世界大戦後の結果」ということから考え合わせれば、無理からぬ判断だと思います。
さらに、ロシアの主張するサハリン州の行政区域とは、サハリンと国後・択捉・歯舞・色丹の北方4島を含んだ地域のことで、日本がプーチン氏が提案したビザ相互免除制度に同意するということは、すなわち北方4島がロシアの領内であることを認めることになりますから、プーチン氏の思うつぼということになります。
これで、ビザ免除による共同経済活動は暗礁に乗り上げました。
当初日本は、サハリン地域内の住民と北方4島の住民を区別するために、申請手続きを少しだけ変えて「区別」することを考えていましたが、まさしく甘い考えでした。
共同経済活動が暗礁に乗り上げた事例として、今月9日から16日にかけて計画していた、初の北方4島関係者以外の日本人向け観光ツアーが急遽延期となったことがあります。
この延期はロシアの都合ですが、憶測するに、今回のビザ免除問題への対応を控え、ロシアは従前の手法である北方4島関係者への「ビザなし渡航」を、関係者以外に認めれば、なし崩し的にビザなし渡航が拡大していくことを懸念したのではないかと思います。
その結果、ロシアは現在のビザなし渡航制度(ロシアの好意で行っていると主張している)も終了する方向へと向かう結果になるのではと懸念します。
安倍晋三氏が「プーチン氏と27回も会っているので、気心が知れている、二人でこの問題を解決しよう」と、ホラを吹くのは勝手ですが、総理就任後の7年間を見れば、北方領土問題は航空機による墓参以外、全く前進していないどころか後退しているのではないかと感じるのは私だけではないと思います。