矛盾する経済対策
- 2020年03月27日
政府は、新型コロナウィルスの緊急経済対策に「30兆円」を投入することで検討しています。
既に新年度補正予算編成が始まっていますが、4月の中旬頃に国会で補正予算が成立するとすれば、その予算を執行するための政省令や詳細な施行規則など事務的な整理に時間を要し、その後、都道府県・各自治体などが当該の方々からの申し込みを受けますが、審査等を短縮しても支給が実施されるのは5月の連休後となるものと思われます。
しかし、この頃までに新型コロナウィルスが下火になっているかどうかは検討がつきません。
また政府は、東京や大阪など都会での爆発的な感染拡大に備え、改正特措法の「緊急事態宣言」を発令する場合のシミュレーションも始めました。
この間、経済は大変な状況になっており、一方では、外出やイベントなどの自粛、改めての学校休校などの他、首都封鎖などが現実に近いものとなっています。
そのような中での補正予算ですが、首をかしげたくなる項目が注目されています。
出てきたのは、外食や国内旅行の代金の一部助成ですが、外出は自粛してほしい、狭い場所での飲食やカラオケも自粛してほしいと要請しながら、飲食の補助やコンサートやイベント入場チケットの補助。
都道府県を超えた移動は自粛してほしい、不要・不急の近隣県との行き来を止めてほしいと要請しながら国内旅行代金の助成。
さらに、消費が低迷しているからと「和牛商品券」、高級水産物が売れないからと「お魚券」、極めつけは、高速道路の無料化です。
高速無料化などは国内での感染拡散・拡大に多大なる影響を及ぼすだけではなく、普段は一般道を走行している車が無料ということで高速道路に集中し、大変な渋滞を招くことになります。
過去の1日1000円乗り放題を行った時の教訓がまったく生かされておりません。
渋滞になれば、トイレを求めてサービスエリアは混雑を極め、濃厚接触の場となりますし、普段、高速道を利用している物流にも大きな影響が生じます。
外食産業も、観光産業も、それに関連する多くの産業も、人の流れが無ければ成立しないものですから、経済面でもこれらの関わる産業に厚く配慮しなければならないことは、当然のことですが、ブレーキとアクセルを同時に踏み込むような政策では無く、今は、感染を最小限に止めることにすべての精力を傾注し、影響を被る企業等には国が財政支援を行うという補正にしなければならないと思います。
感染拡大に備え、空いているホテルなどは、症状の軽い感染者が家族感染を防ぐための療養施設や帰国後の14日間滞在に利用する経過観察施設など、国や自治体が貸し切る等の他、レストランや飲食店からのデリバリー(出前)やテイクアウト(持ち帰り)に重点を置く支援など、誰でも理解できる対策を行うべきではないかと思います。
国民全員への現金支給やカード決済のポイント還元なども取りだたされていますが、全ての国民が窮状に陥っているわけではありません。
消費者はお金が無いから消費を抑制しているのでは無く、外出を自粛しているから消費をしていないという状況では無いでしょうか。
いま必要なのは、コロナ対策で休業や営業時間の短縮を余儀なくされる、客足が遠のくなど、所得や売り上げを大きく損ねた方や企業・商店、それを理由に解雇された方、とりわけパートやアルバイト、フリーランスの非正規の方々など、本当に困っている方への補償だと思います。
レジャー、イベント、外食、観光などの消費を喚起する政策は、コロナウィルスが収束した後の経済対策とすべきではないでしょうか。