矛盾を承知の文献調査(ブログ3572)
- 2024年05月13日
脇山玄海町長が、「高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査」を受け入れる事を表明しました。
町議会が経済3団体の請願を採択した事から、脇山町長が経産相と面会、その場で経産相から「文献調査の受入は、最終処分場選定に直結しない。」という確約を得て受諾を決めたとのこと。
ご存じのように、玄海町は、政府の「科学的特性マップ」からは、地下に石炭などの鉱物資源が豊富にあるために不適地とされていました。
政府自ら「不適地」と指定しているにもかかわらず、経産相が文献調査をお願いしたのかが全く分かりません。矛盾の最たるものではないでしょうか。
一ヶ所でも多く文献調査に手を挙げて欲しい、まさしく政府の「溺れる者は藁をも掴む」という姿を見るようです。
現在行われているの寿都町・神恵内村の文献調査報告書の検討作業部会では、厳しい意見が出されており、概要調査につながるかは予断を許さない状況で、もし、断念せざるを得ない場合は、国内での最終処分場調査は暗礁に乗り上げるという事になるため、そのような事態は、何が何でも避けたいというだけのような気がします。
また、文献調査を行って地震を誘発する活断層や火山による降灰等の影響、10万年耐えうる地盤なのかが明らかになっても、石炭などの鉱物資源があるかぎり当該地は最終処分場の適地にはならず、概要調査へも進めません。つまり、ダメなのが分かっていながら税金をつぎ込むという無駄を行うとしているのです。
脇山町長の言い分も理屈が通りません。
「一石を投じる」など、もはや寿都町や神恵内村の首長の言葉の繰り返しで、2番煎じどころか3番煎じで、そこに意義を感じる国民も自治体首長も居ないでしょう。
山口祥義佐賀県知事は、最終処分場の調査について、「原発を受け入れていることで政府のエネルギー政策に協力しており、これ以上の負担を負う考えは無い。」と受入には反対の立場です。
その事も十分知っている脇山町長は、もっと慎重であるべきですし、「どのみち経産相が言っているように最終処分場の選定には直結しないのだから。」と構えるのであれば、自治体首長としての資質にも疑問を感じざるを得ません。