知事自身による就任半年の評価
- 2019年10月21日
鈴木知事が就任半年に当たる15日に北海道新聞のインタビューに答え、「この半年の成果として、新千歳空港の発着枠拡大、縄文遺跡群の世界文化遺産国内推薦候補決定、ほっかいどう応援団会議の立ち上げなど、知事選で掲げた157の公約の8割を予算に盛り込み、検討を含めて全てに着手した。」と、自ら評価しました。
若い38歳の知事としては、自らの取り組みを道民にアピールしたかったと思いますが、本当にそうなのか、少し過剰評価ではないかと心配します。
新千歳空港の発着枠拡大は、増加するインバウンドに関わり以前からの懸案事項でしたが、新千歳空港が航空自衛隊との官民供用空港であるために様々な課題が横たわっていました。
無論、道も道議会も国への要請活動を継続してきましたから、関係者にすれば、発着枠の拡大はその延長線上にあるものと認識しています。
鈴木知事が菅官房長官と関係が深い事も判りますが、これまでの活動を無視しての拡大はあり得ません。
また、縄文遺跡群の世界文化遺産への登録活動も、10年来にも及ぶ地元の方々の熱意と道、道議会、そして北東北4県との共同の取り組みが功を奏して推薦候補決定に至ったものであり、たまたま、その決定時に知事選に当選し知事に就任しただけ出はないでしょうか。
そして、157の公約の8割を予算付けしたと言いますが、令和元年第2回定例会補正予算は約2,522億円と知事選挙後の補正予算規模としては従前並みで、前回の高橋はるみ知事当選後の補正予算は約2,759億円でした。
政策に関わる予算は、期限付きの政策以外は一度予算付けがされると継続的にその事業を行わなければならないものです。
従って、公約の8割に予算付けしたと言っても従前の政策の拡充も含まれており、首長としては一般的な配分で、鈴木知事が特別なわけではありません。
さらに、検討も含めて公約の全てに着手したとも評価していますが、公約の内容は全ての部局に配布されており、当該の部としては当然検討するというのが行政組織です。
少し厳しいようですが、知事就任半年の成果と課題を問われた時には、「まだまだ半年しか経っておりません。行政は継続であり、これまで行ってきた様々な政策と、私が今回の知事選でお示しした公約の整合性を図り、着実に公約を前進させて参ります。」というように、少し謙虚な、その中にも公約実現への意欲を滲ませる発言であるべきで、政治家として「はやる気持ち」を抑えつつまわりに配慮し、静かな船出を演出すべきだったのではないかと思います。