福田村事件(ブログ3338)
- 2023年09月19日
昨日、函館の映画館シネマアイリスで、「福田村事件」を見ました。
1923年(大正12年)9月1日11時58分に起きた関東大震災、このときに多くの流言庇護が飛び交い、「鮮人が井戸に毒を入れた。」、「鮮人が集団で襲ってくる。強姦や放火、略奪が起きている。」などがまことしやかに広がり、政府や軍部、警察も「社会主義者か鮮人か、はたまた不逞の輩の仕業」という世論を煽り、日本人による未曾有の虐殺事件が関東を中心に各地で起きました。
東京都ではこれまで、歴代の知事が関東大震災の朝鮮人追悼式の日に追悼文を寄せていましたが、小池知事が都知事に就任してからは「そのような事実は無い」と自ら話し、今日まで、追悼文を送ることを拒否しています。
先日は、松野官房長官が、この事件について「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない。」と述べて謝罪の言葉も異例の言葉もありませんでした。
しかし、内閣府中央防災会議が2009年に出した「災害教訓の継承に関する専門家調査会報告書」にはこの地震における殺傷は事件の一覧が掲載されています。
この記録を出しているのは内閣府です。内閣官房長官が、それは有識者の書いたもので、政府の見解では無いと開き直るなら、何かにつけて有識者会議に見解を求めていることと大きく矛盾する発言です。
いや、今や「政府と書いて矛盾と読む」という時代になってしまっています。
この事件は神奈川県でも頻発し、関する公的資料は神奈川県で多く発見されています。
千葉県にある福田村の事件は、この村にも警察により「鮮人の仕業」と言うことが広まり、当時の社会不安と恐怖が最大限に高まり自警団が結成された時に、香川県の薬売りの行商団が15人がこの村にたどり着きました。
しかし、言葉が讃岐なまりの方言だったことで鮮人との疑いがかけられ100人以上の村人により利根川沿いで15人中、妊婦と子どもを含む9人が殺された事件です。
逮捕されたのは自警団員8名でしたが、大正天皇の崩御による恩赦ですぐに釈放されました。
振り返って今、SNSにより多くのフェイクニュースが飛び交います。
つい最近も16年の熊本地震の時に「地震で動物園のライオンが放たれた」と一般人が合成写真をつけてSNSに投稿、大きな反響がありました。
また、パニック時になった場合の集団心理は思わぬところに向かいます。
そして、ナゼそうなってしまったのか、誰も答えられないのです。
これが「カオス(ごちゃごちゃで、何が何だか分からない集団心理)」なのです。
負の歴史を振り返りたくない政府は別にして、事実を事実と受け止め、自らの目で確かめない限り、流言庇護には惑わされないという心を持つことが大事だと言うことを心に刻まなければなりません。