税収の入らないIR
- 2019年12月23日
自民党の秋元司衆議が、IRに関わり中国の企業との関係が疑われています。
当時、内閣府のIR担当副大臣だった秋本氏が、広東省深圳にあるこの企業の中国本社を訪ねたり、那覇市で行った企業主催のシンポジウムの講師をした他、北海道のIRに手を挙げていた留寿都村の場谷村長や管理職・道の担当者と面会したことも明らかになっております。
この企業の顧問と言われる日本人が、中国から多額の現金を日本に持ち込んだ疑いが持たれ、その金が秋本氏にも渡っているのでは無いかというのが、今回の問題です。
すでに、IRの利権に関連して黒い金が動き始めていたようです。
鈴木知事は、IRは成長戦略であり、北海道の未来に欠くことの出来ないプロジェクトで、次回に向けて万全の準備をしていきたいと話しています。
IR法案では、収益の3割を税として徴収し、国と自治体とで折半する事になっており、道の試算ではIRの収益を1,500億円~2,000億円と見込んでいます。
それを単純計算しますと450億円~600億円が税収となり、その半分の225億円~300億円が自治体に入り、これも、道と苫小牧市で折半すると換算すれば112億円~150億円が新たな税収として道に入る皮算用になります。
しかし、自民・公明の与党税制調査会が12日に発表した税制改正大綱では、「カジノ税(仮称)」に対する課税措置が見送られるという結果になったようです。
その理由というのが、「事業者の事務負担が重くなり、日本のカジノへの投資意欲を萎縮させかねない。」という反対論が出たからだとのこと。
カジノを誘致しても、税収が入らないのであれば何の成長戦略なのでしょうか。
ギャンブル依存症などデメリットだけが残り地域が崩壊するだけのカジノを、それでも導入する価値があるというのか疑問です。
そして、IRのもう一つの売りである総合リゾートはどうなのでしょうか。
昨日、年末の資料整理をおこなっていたら、今から30年以上前に家族旅行で訪ねた「カナディアン・ワールド」と「グリュック王国」の写真が出てきました。
カナディアンワールドは「赤毛のアン」の舞台となったプリンスエドワード島をモチーフとし90年に芦別市に開園したテーマパークでしたが、7年後に閉園。
グリュック王国は「グリム童話」と中世ドイツの町並みをモチーフとし89年に開園しましたが、これも8年後に閉園となったテーマパークです。
当初は多くの賑わいがありましたが、徐々に衰退して閉園です。
この時は、地域振興を名目とした「リゾート法」が成立し、同じよ言うな施設が全国に出来ましたが、そのほとんどが多額の負債を抱えて閉園か閉館になってしまいました。
函館でも、横津岳を中心としてフィンランドをメインにした「サンタランド構想」が持ち上がり、消え去りました。
IRは、総合リゾートという側面もありますが、その運営はカジノの収益頼りです。
そして、リゾートも世界規模でなければなりません。
カジノの税収も当てにならなくなり、そしてリゾートも過去の苦い経験があります。
知事は、地域振興そして成長戦略として挑戦したいと意気込んでいますが、「歴史を忘れた民族に未来は無い」という韓国の言葉、「過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる」と言うドイツのヴァイツゼッカー氏の言葉を、もう一度かみしめて貰いたいと思います。