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空疎な演説

  • 2018年10月25日

 「ピンチをチャンスに変える」これも所信表明演説で多用した言葉です。

 安倍晋三氏にとってなんと都合のいい言葉なのでしょうか。

 「ピンチをチャンスに変えよう」であれば、このピンチを招いたのは誰なのかを問いたいと思います。

 行きすぎた規制改革、日本型終身雇用の見直し、労働者派遣法、非正規職員の増加、年収200万円以下の低賃金労働者、教育費の高騰、教育ローン地獄、晩婚化、夫婦共稼ぎ、年金支給年齢引き上げ、年金支給率の引き下げ、介護認定の改悪、医療費自己負担の引き上げ、無貯金者の増加等々。

 一方、株式所得の減税、贈与税の減税、法人税の減税、輸出物品の消費税分還付等々。

 これらによって人口の1%の人の富が、残り99%の所得を上回っているという現実。

 これだけ言うと、ピンチは誰が招いたのか分かってきたのではないかと思います。

 そして、そのピンチを招いた人が「ピンチはチャンスだ」と言う欺瞞。

 ピンチに陥った人の大半はチャンスに恵まれません。そして、老後は不安ばかりです。 聖学院大学人間福祉学部客員教授:藤田孝典氏は、その著書「下流老人 ~一億老後崩壊の衝撃~」で、次のように述べています。

<想像してみてほしい

 朝、薄明かりの中で目を覚ます。カーテンの隙間から差し込んだ朝日が、衣類やチラシが散乱したほこりっぽい6畳一間の部屋を映し出す。身体が重く、思うように動けない。

 15分かけてようやくシミで汚れた布団から起き上がり、顔を洗う。鍋からよそった昨日の残りのご飯を少し食べ、沢山の薬を飲む。持病があるため薬は欠かせない。しかし、薬代が高く頻繁には病院にかかれないため、もらった薬を半分にして飲んでいる。

 朝食のあと着替えると、自宅近くの公園に向かう。そこのベンチで1日を過ごす。

 目の前を若い学生や子ども連れの家族が通り過ぎていく。誰にも話しかけられることはない。子どもはおらず、配偶者も数年前に他界した。親族とも連絡は取っておらず、今どこにいるのかさえ分からない。

 夕方になると帰宅し、買い置きしておいた安い米と見切り品の総菜1品で夕食を済ます。

 たまにできる贅沢は、カットフルーツを食べることくらいだ。

 節約のため電気はつけず、テレビの灯りだけ。先月、貯金が20万円を切った。年金はもらっているが、十分な額ではない。このままいけばあと数ヶ月で底をつくだろう。その先どうすればいいかは、分からない。

 よる9時になると、早々と布団に入る。静かな部屋に、時計の秒針が刻む音が響く。ときどき、「早く迎えに来てくれよ」と思う。そして、また眠りにつく。

 想像上の話ではない。このような生活を送る高齢者は実在する。>

 寒冷地では、冬の日中は暖房費がかかるためにスーパーか大病院の待合いホール等で過ごすであろうし、酷暑地域では冷房費がかからないように同じ行動をするのでしょう。

 「100年安心年金」と言った人が「100年現役時代」と言い、そして「全世代型社会保障」と言う、誰が信用するのでしょう。空疎な演説です。


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