窓口負担の引き上げ
- 2020年11月13日
厚労省社会保障審議会の医療保険部会が、75歳以上の健康保険窓口負担を1割から2割に引き上げる議論を本格化させる事になりました。
現在は、年収383万円(月額約32万円)以上の現役並みの所得がある場合は3割負担で、それ以外の方は1割負担です。
ただ、3割負担の方は全体の約7%で、それ以外の方は約93%と圧倒的に多く、このうち低所得者を除く「一般区分」の方が全体の約52%で、この方々が対象となります。
議論は、この一般区分の方々をどの水準まで引き揚げるかというところが中心となりますが、ちなみに52%の方々全てを2割に引き揚げた場合、高額療養費制度を考慮しても平均で現在の年間8万1,000円から3万4,000程負担が増えることになります。
この引き揚げに対し、
・健康保険組合連合会:保険財政の改善に向け一般区分全てを2割にするよう要請。
・医療団体 :負担金の上昇で受診控えが懸念されると慎重。
・日本医師会 :2~3割負担の対象者を20%未満に抑えるべき。
と様々な意見が出されています。
少し以前になりますが、民主党野田政権時に「税と社会保障の一体改革」ということが打ち出され、野党だった自民党安倍総裁と与党民主党の野田首相が党首会談を行い、消費税を含めた「税と社会保障の一体改革」を進めるならば解散すると合意した事を思い出します。
この時にから約10年経過しました。
昨年、安倍氏は消費税を10%に引き上げましたが、公明党が強硬に主張した「軽減税率」や電子決済でのポイント還元などを行い、結果として消費税引き上げの目的だった社会保障費の財源はかなり抑えられてしまいました。
消費税は引き上げられ、カードやスマホを持たない高齢者にはほとんど還元されないで有ろうポイント制度などのせいで、健康保険の窓口負担が75歳以上に重くのしかかるのは、高齢者にとってなんとも不合理のような気がします。
これで、受診控えが現実となり重病化することになれば、軽減税率やポイント還元が世代間の歪みとなってしまいます。