米国の選挙制度
- 2021年01月09日
それぞれの国にはそれぞれの選挙制度があります。
どの選挙制度が民意を一番尊重しているのかは専門家ではないので分かりませんが、日本から見た米国の大統領選挙も一風変わっていると感じます。
まず、2大政党による大統領候補になるために、政党ごとに党員による予備選挙を行い、政党を代表する大統領候補と副大統領候補を選出、その候補が1年間の間米国全土で集会などを開催して選挙戦を行う。
多くの州では2大政党以外の第3勢力は、立候補者に一定数の有権者の署名が必要としているために立候補のハードルが高く、一部の州でした立候補が出来ない事例が多く、20年の米国大統領選挙では2大政党以外の立候補者で全州で立候補が出来たのは「リバタリアン党のジョー・ジョーゲンセン」のみとなっていますが、泡沫候補でしかありません。
さて、立候補者は党を挙げての選対を立ち上げ、選挙のプロや電通のような広告会社などの総力を結集し、企業や個人から多額の寄付金を集め、全米規模のテレビ広告やネット配信を行い、ボランティアが戸別訪問を行って支持拡大に専念します。
投票権は18歳以上となりますが、自動的に選挙権が与えられるわけではなく、自己申告で選挙人名簿に登録しなければ選挙権は与えられません。
11月の第1月曜日の翌日に行われる投票は候補者に直接投票するのでは無く、前もって本選挙において特定の正副大統領候補に投票する事を制約している選挙人団(各州の人口によって定数が決められているが比例はしていない)に投票し、1票でも多く得票を獲得した選挙人団がその州の選挙人を全て獲得する勝者総取り方式となります。
そして全州で獲得した選挙人の数を合計して獲得選挙人の多い候補者が勝利します。
有権者の得票数が直接反映される制度では無いため、次点者が当選することもあります。 16年のトランプ氏とヒラリー氏の選挙では、国民の投票数ではヒラリー候補の得票が多かったのですが、選挙人ではトランプ候補が多く、当選しました。
投票の開票に各州で時間差が有り、全ての開票が明らかになるまで、1週間かかる場合も有ります。
そして当選が判明しても、約2ヶ月後の1月6日に上院で開催される上下両院の総合議会「米国議会合同会議」で正式に大統領の当選が決定されます。
そうです、トランプはこの日に集会を開き、支持者に対して会議が行われている米国議会議事堂に向かうように扇動しました。1月20日に大統領宣誓と就任演説を行う前に最後の抵抗を行うにはこの日しか無かったのです。
日本の選挙とはずいぶん違うシステムですが、直接選挙では無く間接選挙という意味では日本の議院内閣制と似たようなシステムとなっています。しかし、選挙結果と就任の間に2ヶ月も時間があり、この間に敗北した大統領が何をするのか、トランプが異常だったのですが、死に体の大統領による政治が2ヶ月間も行われるのも少し違和感があります。
どのような選挙制度が民意を一番反映するのか、米国の政権交代劇を見ながら改めて考えさせられました。