経産省の思惑はずれ
- 2018年04月14日
ニセコ高校での公開授業をめぐる道経産省の介入、そして倶知安町の町民向け講演会への道経産省の介入による講師の変更と、原発に対する道経産省の地方自治体や自治体教委への介入が立て続けて有ったことの陰には、16年度から始まった経産省の「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」の推進を、これまでの電発立地自治体からUPZ30km圏内まで対象を拡大したことが影響したようです。
今までの立地自治体(PAZ5km圏内の3自治体=泊村、岩内町、共和町)は、泊原発について再稼働推進の立場ですが、UPZ圏内の自治体(寿都町、蘭越町、ニセコ町、倶知安町、赤井川村、仁木町、余市町、古平町、神恵内村、積丹町)は、どちらかというと消極的な自治体が多く、17年度の促進事業補助金は13町村の内、倶知安町、ニセコ町、寿都町、そして岩内町が申請しました。
そして、申請のあった4自治体に約7,300万円の支給が決まり、それぞれ再エネ導入に向けた事業を行っています。
その内のニセコ高校と倶知安町が講演を企画、ニセコ高校は促進事業補助金とは別に経産省の「エネルギー教育モデル校」に指定されているため、別枠の講演助成金を使用しましたが、道の経産局は、「エネルギーの高度化・転換」を目指す自治体、そしてエネルギーの多様化を教育する「教育モデル校」の講演に、原発の危険性、さらには再生可能エネルギーのクリーンさを強調してはいけないかのように介入してきました。
両補助金・助成金の主旨はこれからのエネルギーの方向性であり、経産省の有識者会議においても再生可能エネルギーを「自立した主力電源」とする方針を打ち出したのですから、何も問題が無いと思われますが、経産省の意図しない方向で講演されるのを嫌っての介入のようです。
そして、経産省は、ニセコ高校の問題を受けて「エネルギー教育モデル校」事業を廃止することにしました。
UPZ圏内の自治体住民に対し、原発再稼働への下地を作ろうと目論んだ補助事業と助成金事業でしたが、その目論見が外れそうになると教育まで介入し、介入が批判されれば事業を取りやめる。
なりふり構わない経産省の思惑が透けて見える様な事案でした。