翁長氏へのスラップ訴訟
- 2018年07月31日
沖縄の翁長知事が、知事としての最後の手段である「辺野古沿岸部埋め立て承認の『撤回』に関する手続き」を行う方針を表明しました。
辺野古沿岸の埋め立ては、仲井真前知事が承認した埋め立てについて、翁長知事就任後「埋め立て承認に瑕疵があった」として取り消しましたが、これを不服として国が提訴、最高裁が「取り消しは無効」と判断したものですが、今回の承認の『撤回』は「承認後に生じた事情により、その効力を失っている」というもので、今後は、8月17日に予定されている埋め立て工事を中断し、 ①政府が裁判所に『撤回』の執行停止を申し立てる場合→裁判所が執行停止を認めれば<工事再開>、認めなければ<引き続き工事中断> ②政府が裁判所に『撤回』取り消しを求める訴訟を起こす場合→県が勝訴すれば<工事停止>、国が勝訴すれば<工事再開>。
となります。
このため、政府は『撤回』の効力を失わせる執行停止の申し立てや取り消しを求める訴訟を起こして対抗するほか、知事権限の乱用だとして翁長知事個人への損害賠償請求も行おうとしています。
翁長知事への損害賠償請求は、俗にいうスラップ訴訟で、この訴訟は、社会的に優位にある立場(この場合は政府)の者が、個人(この場合翁長氏1人)では対応しきれない程の法外な損害賠償訴訟を起こし、金銭的、時間的、精神的な負担を強いるもので、強者が行おうとしていることに対して弱者が行う反対行動を止めさせる嫌がらせの訴訟のことです。非常に汚いやり方で、損害賠償は一人では購えない額となるでしょう。
その額は数十億円から、数百億円という事になるかも知れません。
県民の大半が反対する辺野古基地問題を、翁長知事一人をターゲットとした損害賠償訴訟を起こすと言うことになれば、これからは辺野古に限らず、全ての問題で国の方針に逆らう国民に対し、法外な額を請求するスラップ訴訟が行われることになるでしょう。
国は、正当な手続きによる、国民が理解する方法でこの辺野古問題を解決すべきです。
既に、アジアの安全保障力学が変化しようとしていますし、沖縄の海兵隊任務は、その内容を災害復旧などに特化するなど、米軍における位置も変化しています。
それにしても、この国の政府はいつまで沖縄を苦しめるのでしょうか。