聖火リレーの報道
- 2021年03月29日
昨日も五輪聖火リレーについて触れましたが、今日の東京新聞ではスポンサーによるお祭り騒ぎについて批判の記事を掲載しています。
テレビニュースなどでは、聖火ランナーを中心に報道していましたから、その全体像は分かりませんでしたが、東京新聞の記者によると
<リレーが出発した後、沿道ではかなりの観客が詰めかけ、場所によっては「密」の状況となっていた。
沿道で聖火を待っていると、最初に小型車が来て、「もう少しでランナーが来ます。大声は控え、拍手で応援しましょう。」とアナウンスされましたが、しばらく経って森の陰から「ズチャ・ズチャ・ズチャ」と大音響の音楽を響かせ、やってきたのは大型トラックだった。真っ赤に塗られた車体に「コカ・コーラ」の文字。リレー最上位のスポンサーだ。車両は「コンボイ」と呼ばれる宣伝用の改造車で荷台の上部にはDJ(ディスクジョッキー)ブースがあり、マスクも着けていないDJが大音響の音楽を流しながら「福島の皆さん1年待ちました」、「踊って楽しみましょう」と呼びかけている。
車両は早歩きくらいのスピード進み10人ほどのスタッフがマスクを着けてダンスを披露したり、観客席にタオルを配ったりしている。
他にも最上位スポンサーのトヨタ自動車、日本生命、NTTグループの「コンボイ」が続いてやってきて「ゆず」や「EXILE」の曲をかけながら、同じくDJが負けじと声を張り上げる。かなり、うるさい。
警察車両も併せて30台程が過ぎた頃、車両の陰から聖火が見えた。
沿道の観客は「沿道には対策してくれと言っておいて、自分たちの対策ができていない。福島の感染も増えており心配だ。」、「お祭り騒ぎって感じ。どう受け止めていいのか。復興に関するメッセージはなかったですね。」と話していた。
女性蔑視問題で引責辞任した森前会長も在任時、「延期後の開会式の演出についてだが、以前のようにお祭り騒ぎはふさわしくない。」と話していた。>とレポートしていました。
そして、米国の3台ネットワークの一つである大手のテレビ局NBCが、「リレーの聖火を消すべきだ。」との寄稿文を電子版に掲載し大きな話題となっている。と報じるのはニュースサイト:リテラです。
<NBCの寄稿文を執筆した米国パシフィック大で政治学を専門とするジュールズ・ボイコフ教授(元プロサッカー選手)は、「新型コロナウィルスのパンデミックのさなか、聖火リレーは五輪虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している。」と批判し、聖火リレーが福島県から出発した事についても「この儀式の偽善や害悪、ばかばかしさを際立たせただけではなく、五輪に向けて突き進む日本の問題の縮図でもある」と喝破、さらに「聖火リレーは、福島が復興していない現実を隠蔽するために設計された政治的偽装だ」という地元・福島の抗議者の言葉も紹介した。
また、ボイコフ教授は日本国内の8割が中止や延期を求めている事にも触れ、「ワクチン接種も進んでおらず、人々が不安を募らすのも当然だ」、「そもそも聖火リレーは五輪をナチスドイツがプロパガンダに利用した1936年のベルリン五輪で、アーリア人の結党を主張する方法として生み出されたものであり、ナチスの宣伝活動に由来するような伝統は廃止されるべきだ」と訴えました。>
このような寄稿文をあえて掲載したのが、五輪の放映権を独占するNBCということです。五輪のセレモニーに水を差し、開催自体に疑義を呈するような批判を堂々と掲載することが、NBCにとってどのようなマイナスの影響をもたらすのかは覚悟の上ということなのでしょう。
それに引き換え、日本のマスコミは、読売、朝日、毎日、日経が「オフィシャルパートナー」となっており、産経、残念ながら北海道新聞も「オフィシャルサポーター」契約を結んでいます。
従って、前段にお伝えしたような報道はどこの報道機関も掲載せず、また系列のテレビ局でも取り上げられておらず、新聞紙上で批判の記事を掲載したのは東京新聞のみとなっています。
放映権を独占していながらも問題点を指摘するNBCと、スポンサーになっていることで一切触れない国内メディア、この差は何なのか。
自社の立場のみを考えて国民にうわべだけを伝え、真実に対して沈黙を続ける報道機関に私たちは何を求めれば良いのでしょうか。