蔓延防止等重点措置
- 2021年01月25日
予算特別委員会が始まり、まずは第3次補正予算の審議が先行して行われています。
この第3次補正予算の重要な部分がコロナ対策費ですが、これに関わる「新型インフルエンザ等対策特別措置法」と「感染症法」の改正に関わり、罰則規定を盛り込むかどうかが問題となっています。
改正法は、「緊急事態宣言」が出された場合と、その前段である「蔓延防止等重点措置」が発令された場合の2条件があります。
この「蔓延防止等重点措置」については
①政令で定める要件に該当する事態が発生したと認める時に摘要、とされていますが、要
件が曖昧で明らかになっていない。
②国会報告の義務は無い、とされていますが私権の制限への歯止めがきかなくなる恐れが
あります。
すなわち、「緊急事態宣言」発令前に「蔓延防止等重点措置」が発令された場合、当該都道府県知事が規制に関わる権限を行使することが出来ることになります。
知事の権限が増し、行政の裁量が広がり、休業や営業時間の短縮に対する要請・命令等が出せて、従わない場合は30万円の科料(緊急事態宣言対象地域の場合50万円の罰金)を科すことが出来ます。
また、国会への報告も無く、どんな業種を対象にするかも明らかになっていません。
これらは、より強い規制への権限を求める全国知事会からの要請があったことから、法改正時に新たに加えられる事になりそうですが、判断を下す知事の責任は重く、罰則の場合は明確な実証責任も派生します。
さらに、訴訟になる場合もあるでしょう。その時は憲法第22条の「職業選択の自由」に含まれる「営業の自由」を過度に制約する事に対する知事の権限が訴訟の対象になるでしょう。
そして、多くの憲法学者が「必要以上に広範な権限を知事に与える恐れがあり、憲法上問題」という見解を明らかにしています。
何よりも憲法は法の上位に位置しますから、従わないからと言って知事が安易に罰則を科すことは問題が生じるものと思います。
また、国会に報告する義務は無くても、都道府県議会に報告しなければならず、また議会は知事に報告を求めることが出来ることから、知事が議会で対応に窮する事が想像できます。
一方、コロナ禍を利用して私権の制限が可能となる法が成立すれば、これを前例に、様々な私権の制限が可能となる法改正が行われる可能性がありますし、今の政治状況ではそのことが現実味を帯び、その発端になることに大きな危惧を感じます。