行政が立ちゆかなくなる(ブログ3059)
- 2022年11月27日
昨日、有る会議で渡島管内の町議会議員の皆さんの共通した懸念をお聞きしました。
それは、「町の職員を志す若い人材がいない」というものです。
問題の第1は、職員を募集しても採用試験を受けようとする人材が圧倒的に少ない。
第2に、職員に採用しても中途で離職してしまう。
第3に、必要不可欠な保健師、建築士などの技術職が職員になってくれない。
第4に、行政のシステムや予算などの基礎的な研修や職員育成に割く時間的余裕が無い。 というものです。
かつて行政改革の名の下に職員削減が何処の自治体でも行われましたし、今も毎年のように多くの首長は財政削減を目的として職員減を続けています。
その結果、自治体は行政を遂行するために必要な、最小限の職員しかおりません。
つまり、ギリギリで余裕が全く無い上、新に「コロナウィルス感染症」関連業務や「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の推進、「マイナンバーカード」の取得率向上等々、政府から新たに求められる業務が次から次に基礎自治体に押しつけられます。
日々の業務に追われ、若手は即戦力を求められますが、行政は法と条例を基本に仕事をしますので、自分の担当に関わる法律や政省令、条令を充分に理解して住民対応するには時間と経験が必要になります。しかし、それがかなわず、様々なプレッシャーから自信を失い中途離職に至るケースも増えています。
また、住民の健康を維持するためには、健康相談や育児相談等が欠かせませんがその中心となる保健師がなかなか地方の自治体に目を向けてくれず、公共事業に関わる建築士も建築審査が中心の内勤が多く、思い描いていた業務とのギャップに職場を後にすることもあり、憂慮すべき課題のような気がします。
先輩も仕事に追われ、若手を育成する余裕がありません。
自治体の職員不足は深刻な現状になってきています。
これは道庁にも共通する問題ですが、町村部では少ない人数で担当業務も兼務で行うことが当たり前になってきており、専門的なスペシャリストより、ゼネラリストが求められます。それに加えて、これから行政を担っていかなければならない若手の職員は、責任を伴う仕事を嫌い、従って管理職にもなりたくないという傾向にあります。
行政需要は今後も増えていくことでしょう。しかし、それを支える職員の絶対数が足りません。いくらIT化を進めても、行政はフェース・トゥ・フェース、顔と顔で住民と街づくりを進めることが基本ですが、このままでは行政が立ちゆかなくなります。
以前のように、公務員に夢を持って挑んでくれた時代が嘘のようです。