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裁量労働制と医師

  • 2017年07月09日

 「医師の年俸には残業代が含まれていない」という判決が最高裁で出されました。

 地裁、高裁は「生命に関わる医師の業務には、労働時間に応じた賃金支払いは馴染まず、高額な年俸に残業代が含まれるとみなしても不合理ではない」との判断、これに対し最高裁は「年俸のうち、どの部分が残業代に当たるのか判別できず、残業代が支払われたとは言えない」と高裁に審理を差し戻しました。

 政府は、労働問題に対して様々な改悪を企てています。

 その一つに「裁量労働制」と言うのがあり、具体的には「出退勤時間の制限が無く、実労働時間に応じた残業代は発生しない」というもので、この制度が適用される業種として、①研究開発 ②情報システムの設計・分析 ③取材・編集 ④デザイナー ⑤プロデュサー・ディレクター ⑥その他、厚労大臣が中央労働委員会によって定めた業務。に限定しており、大学病院の教授、准教授、講師(診療が研究業務と解釈される場合)以外の公立・民間病院勤務の医師はその中に医師は入っていません。

 したがって今回の最高裁判決は、多くの公立・民間の医療機関で医療に従事する勤務医の外来診療、病棟診療、当直や緊急の呼び出しについては厳密に残業手当の対象になるという事になります。

 今回の判決の事案は、神奈川県内の私立病院に勤務していた男性医師が、病院側と年俸1,700万円で契約、雇用契約には午後5時半~9時までの残業代を含むと言うもので、この男性医師は合意していましたが、未払い賃金の支払いを求め、先の判決となりました。

 この判決の詳細は判りませんが、裁量労働制適用除外となっている勤務医の賃金の在り方について、大きな問題を投げかけました。

 そして、これは最高裁判決という重い判断に裏打ちされたものですから、これまで、医師の善意に頼っていた多くの病院は、重大な対応を迫られることになります。


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