診察券の集約(ブログ3032)
- 2022年10月27日
あなたは今、何枚の診察券をお持ちですか?
さて、10年ほど前、あるITソフト専門業者の方からお話を聞いたことがあります。
その業者は、「病院ごとに交付される診察券に個人医療番号を付与することによって1枚にし、全ての病院で診察が受けられる様にする、そして個人の医療情報が瞬時に分かることと、そこで処方された医薬品についても情報化することで、これまで通院していた病院の診察券は1枚に集約でき、さらに、全国どこの病院でもこのカードを利用できる。
また、そのカードに集約されている情報で、これまでの既往歴、検査歴、ドクターの診断、処置、投薬などの情報が一元管理され、無駄な検査も防げるし、的確な傷病の判断と投薬が実施される。
このカードの導入は、医療界にとっても患者にとっても画期的なものになる。」と話し、開発に当たっての実証実験などの結果も披露してくれました。
しかし、なぜかこの新しい開発は日の目を見ることが無かったのです。
「なぜだと思いますか。」と開発事業者から問われた時に、「あるドクターの診断や治療、投薬などを、別のドクターが知ることになる。そうなれば、その診断が的確な診断だったのか、治療方法は、投薬は正しかったのかを、他のドクターが知ることになり、ドクターとしての腕のレベルを知られることになる。そのことを、どのドクターも望んでいないからでは?」と答えました。
そうしたら、このソフトを開発した担当者は、「まったくその通りです。そんなことは想定もしていませんでした。」と答えました。
医学界は、それで無くても大学の学閥や、教授・准教授・講師・助教や先輩・後輩の序列が厳しい世界です。
いつも偉そうにしていた方が、実は医学的な知識も技術も古い場合や、劣っている場合はあることです。そうして、新しいソフトは、葬られる羽目になったのです。
そして今は、マイナカードに保険証機能を持たせ、医療情報や薬局情報も取り入れる。最終的にはその人が今までに罹った病気や治療方法、投薬まで情報として取り入れる考えのようです。果たして開業医の方々が中心の医師会は、賛成なのでしょうか。